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早川 成昭 氏
(有)ハヤカワ・テクノブレーン 代表取締役
NPO法人IHTB(International Human Techno Brain)理事長
第10回 東日本大震災
第9回 電磁波障害 その2
第8回 電磁波障害 その1
第7回 タバコと健康
第6回 母体汚染と胎児への影響
第5回 シックハウス症候群は減少しているのだろうか
第4回 予防原則・REACH
第3回 日本人の免疫力が低下しているのはなぜか
第2回「見える科学」と「見えない科学」
第1回 身近な環境と健康
住宅の検査、トラブル処理を専門に行う一級建築士
1973年のオイルショックを契機に欧米で問題になった「シックビル症候群」に出会い、約35年間勤務していた会社を含めて、実務家として約半世紀近く住環境にかかわっています。
環境と健康の問題は原因が複合的で、改善には総合的に取り組む必要があります。
「身近な環境と健康」をメインテーマとして取り組んでいます。
 
■■ 第10回 東日本大震災

3月11日に発生して3カ月を過ぎていますが、未だに先が見えない状況です。政治の無能力さがわかり、現地では行政を当てにせずに自分たちの力で復旧、復興をはじめている状況が増えています。

 東日本大震災は、5つの多重複合被害です。
1.地震被害
2.津波被害
3.原発被害
4.風評被害
5.政治被害

1、2は「天災」ですが、3、4、5は「人災」そのものです。
 政府や東電が「想定外」と云い訳をしていますが、原発設計基準から想定されていたことです。

1)1995年に発表された、高木仁三郎氏の論文:
  (高木仁三郎:1961年東大化学卒、日本原子力事業NAIG総研、東大原子力研究所助手、東京都立大助教授を経て原子力資料情報室代表、2000年に死去)

 「問題提起のポイント」
1.  原発安全神話:「原発は地震に対して絶対安全なのか」
   ・原発耐震設計審査基準、福島第一原発は阪神大震災程度でも対応できない。浜岡原発も対応できない。他にも存在している。
2.原子炉容器および配管施設の老朽化
   ・損傷、亀裂、劣化により地震時に一気に破断の可能性大
   ・廃炉の基準が無く、故障続きの状態で運転が継続されてきた
3.緊急時対策の不備・・・「メルトダウン」を指摘
   ・地震+津波→給水配管の破断+緊急炉心冷却系の破損+非常用ディーゼル発電機の起動失敗→メルトダウン→放射能大量放出→緊急避難
  どれをみても高木氏の予測どおりです。
 行政や東電などの意に反する学者は全て排除されてきました。



2)原発現場監督、平井憲夫氏の「原発がどんなものか知って欲しい」という
レポート:
  (平井憲夫氏:1級プラント配管技能士として、日本の多くの原発建設に係わり、現場監督として活躍。原発事故調査国民会議顧問、原発被曝労働者救済センター代表、北陸電力能登(現、滋賀)原発差し止め裁判原告特別補佐人、東北電力女川原発差し止め裁判原告特別補佐人、福島第2原発3号機運転差し止め訴訟原告証人。
「原発被曝労働者救済センター」は後継者が無く、閉鎖された。
1997年1月、逝去。

 「レポート内容のポイント」
  ・私は原発反対運動家ではない
  ・「安全」は机上の話
  ・素人が造る原発
  ・名ばかりの検査・検査官
  ・いいかげんな原発の耐震設計・・・高木氏の指摘と一致
  ・定期点検工事も素人が
  ・放射能垂れ流しの海
  ・内部被曝が一番怖い
  ・普通の職場環境とは全く違う
  ・「絶対安全」だと5時間の洗脳教育
  ・だれが助けるのか
  ・びっくりした美浜原発細管破断事故! (大変恐ろしい内容)
  ・もんじゅの大事故
  ・日本のプルトニウムがフランスの核兵器に?
  ・日本には途中で止める勇気がない
  ・廃炉も解体もできない原発
  ・「閉鎖」して、監視・管理
  ・どうしようもない放射性廃棄物
  ・住民の被曝と恐ろしい差別
  ・原発がある限り、安心できない


平井憲夫氏は、レポートのおわりに
“原発がある限り、世界に本当の平和は来ないのですから。
        優しい地球、残そう子どもたちに”
 と訴え、1997年に逝去されました。長い間の放射線被曝が原因か?

1) の高木仁三郎氏も 2)の平井憲夫氏も福島第一原発事故前に亡くなられています。遺言のように思われます。
 それぞれの立場は異なりますが問題提起されたことが、全て現実になりつつあります。

 平井氏のレポートを読みながら、20代の時1日3000人働いていた、当時最大のビル建築現場で、自動制御の設計・調整・現場監督を経験しました。
 配管からの漏れなどを聞き、平井氏のレポートをみるとビル建設の方がはるかに信頼性が高いと思いました。
 すべてに共通していることは、日本の技術力は高い。したがって設計品質は世界でトップかもしれない。問題なのは現場の施工品質です。
 このことは住宅建設にも共通していると思います。

 未だに政府と東電には上位下達の考えが色濃く感じられます。
 福島第1原発事故が発生した当初、国民がパニックになるから抑えたという報道があります。マスコミの報道が全て正しいとは思っていませんが、私の経験から考えるとあり得ると思います。
 私は日本で「シックハウス症候群」(和製英語)という名前が出る前から実務者として予防と対策に取り組んでいます。
 日本で社会問題としてクローズアップされ出した時期に、財団法人の幹部に会い、国民に予防知識を広める必要があると提案したことがあります。
 そのとき「国民がパニックになるからできない」と云われたことを思い出します。

 最大の問題は政治家の無力さではないかと思います。
 問題解決は霞が関ではなくて、被災地で議論すべきだと思います。
 
■■ 第9回 電磁波障害 その2

2010年5月18日、WHO(世界保健機関)から携帯電話と脳腫瘍との関係を調べる世界最大規模の研究結果が発表された。日本も含めた13カ国が研究に参加している。英タイム紙は「ヘビーユーザーでガンリスク」という見出し、英テレグラフ紙は「画期的な研究で、ヘビーユーザーの危険の可能性を示す」とともに生活者の立場からの報道である。
日本では毎日新聞と産経新聞は「携帯で発がん、確認できず WHO機関が大規模調査」、日経新聞は「携帯と脳腫瘍の関係、大人は『確認できず』」というものだった。同じ研究結果についてなぜ180度反対の報道になるのだろう。
日本の電力10社でつくる電気事業連合(電事連)や電力中央研究所(電中連)は「今のところ、環境中の電磁波が健康に悪影響を及ぼすという科学的根拠は無い」という考えである。先進国で日本だけが環境リスクについて「問題無い」といい続けている。
行政や関連業界には立場上「寝た子を起こすな」と思われるような姿勢や環境リスクに対する意識の低さが感じられるのは私だけだろうか。
日本国民もそろそろ平和ボケと他力本願から脱却しないと、ますます海外との差がついてしまう。
私たちは前人の経験を大切にして、身の回りのあらゆるところに「絶対的な安全は存在しない」ということに気づくべきである。電磁波障害はシックハウス症候群やアスベスト障害とともに“静かな時限爆弾”として21世紀の公害になる可能性が高いといわれている。
電気を使わずに生活することはあり得ないことは国民もわかっている。
生活にとって必要なものを止めろということではなくて、一般の消費者にやさしく注意事項を徹底させる努力が必要だろう。
関連業界を非難し不安を煽る考えは毛頭無い。現実に生じている実態を素直に受け取り、「予防原則」に基づいて情報を共有し、上手く付き合う暮らし方を身につけることが必要である。EUのように国民と産業界が一体になって改善に取り組むことを望む。
 宮田幹夫氏(そよ風クリニック院長、元北里大学教授)は、日本で唯一早期に哺乳動物で実験を実施した人で、治療にも努力している数少ない専門家である。宮田幹夫氏は石川 哲氏(米国アカデミー環境医学会(AAEM)フェロー)と一緒に化学物質過敏症に取り組んできた専門家でもある。
 
■■ 第8回 電磁波障害 その1

WHOの下部組織「国際ガン研究機関」は2001年、低周数の磁場(磁気のある場)について「発ガン性があるかもしれない」とした。
 X線、γ線、紫外線の中でも波長が短いものは特殊な電磁波である。波でありながらピストルの弾丸のような性質がある。人間を構成している原子にぶつかると電子を弾き飛ばしてしまう。電子を失った原子は細胞やDNAを傷つけ、ガンなどを引き起こす原因になるといわれている。
健康への影響が問題になっているのは、携帯電話や電子レンジなどから出ている「マイクロ波」と高圧送電線や家電製品から出ている「低周波」の電磁波である。
2004年10月、スウェーデン、カロリンスカ研究所の研究結果から・携帯電話を長期間使用すると腫瘍のリスクが高まる。・10年以上使用すると聴神経腫のリスクが2倍に、頭の同じ側なら4倍になると報告している。
 スウェーデンでは、病気として認定しており保険適応医療の扱いになっている。欧米では「電磁波は健康に影響がある」と考える人が多く、影響が無いという人はほとんど居ない。ところが日本では多くの人が無関心ではないだろうか。日本でも国立環境研究所の全国疫学調査で、高圧送電線や電気製品から出る超低周波(磁界平均0.4マイクロテスラ以上)が及ぶ環境では、子どもの白血病の発症率が2倍になるという中間解析の報告がなされている(2002年8月24日、朝日新聞)。
読売新聞で2006年11月7日から連日5回にわたって「環境ルネッサンス」で「電磁波」に関して連載された。
2005年1月、英国立放射線防護委員会は「8歳未満の子どもに携帯電話を使用させないように」と警告している。同じ時期にロシアの放射線防護委員会も「16歳以下の子どもは使用すべきではない」と警告している。
2006年1月、WHO(世界保健機関)が電磁波に関する環境保健基準原案で「疑わしきは回避せよ」という「予防原則」のメッセージを出している。 
欧州では政治・産業界と国民との間の正確な情報の共有が支えているといわれている。
日本で電磁波の問題を指摘するには以前から大変な勇気が必要なことである。この問題は海外ではオープンに問題にされており、日本でも問題視している
者が少なくない。過去の日本の公害や薬害をみると、データが少ないという理由で行政も不作為を続け、多くの犠牲者と大きな財政支出につながっていることは明らかである。
科学には「見える科学」と「見えない科学」があり、環境と健康分野においては「見えない科学」がはるかに多い。データが少ないということは犠牲者が少ないということを意味している。わが国では公害や薬害で十分経験しているはずである。「予防原則」の欠如である。
 
■■ 第7回 タバコと健康

 喫煙者はますます肩身が狭くなっていると思う。それには理由がある。
2010年9月28日、厚生労働省研究班は、受動喫煙が原因で死亡する人は、国内で少なくとも年間約6800人に上るとの推計を発表した。2009年の交通事故による死者、4914人を大きく上回る。受動喫煙との因果関係がはっきりしている肺ガンと虚血性心疾患の死者だけを対象にしており、実際にはもっと多い可能性がある。受動喫煙でこれらの病気にかかる危険性が1.1〜1.4倍に高まるとした研究や、受動喫煙にあう人の割合を調べた全国調査などから死者を推計した。半数は職場で、非喫煙者の割合が高く家庭での受動喫煙にあいやすい女性の被害が男性よりも多いことがわかった。
2006年2月、WHO(世界保健機関)は、「喫煙による死者数は各国との条約交渉を始めた6年前の8秒に1人から6.5秒に1人へと加速した」と報じた。
マスコミでも採りあげるようになったが、受動喫煙(喫煙者から放出される煙)や副流煙(タバコの先から放出される煙)に十分注意していた人(主に健康志向の主婦)が肺ガンを発症する例が増えている。
タバコの煙には200種類以上の有害化学物質が含まれている。6畳の間で1本のタバコを吸うと、浮遊粒子物質(ニコチン・ベンツピレなどを含む)が1? あたり0.75μgとなり、職場の環境基準(0.15μg/?)を5倍もオーバーする。 
実験結果によると、ホタル族や台所の排気フードのところで喫煙しても 家族に影響を与えることが証明されている。
肺ガンだけでなく、その他のいろいろなガンにかかる確率が2倍から10数倍に高まり、心臓病発症率が3倍高まる(厚労省研究班)。
とくに女性については子孫に影響するので十分注意しなければならないのでいくつかの情報に触れておく。
妊娠中の喫煙は、胎児細胞の染色体の異常を引き起こし、胎児に深刻な影響を与える(アメリカ)。
喫煙している女性は非喫煙者の3倍以上不妊症になる確率が高い(WHOの統計結果)。低体重児や障害児の出産が多くなる。
おばあちゃんが喫煙者だと孫がぜんそくになりやすいとの報告もある。
母親の喫煙は、子どもの一生の健康に大きな影響を与えるので、これから子どもを産む若い女性はカッコ良いと思ってタバコを吸うのは止めてほしい。
 
■■ 第6回 母体汚染と胎児への影響

 ほんの約200年前(産業革命)までは存在しなかった汚染物質が、現在では環境の隅々まで満ち溢れており、無関係で居られる人は一人も居ない。
へその緒は胎盤を通して母親と弱い胎児をつないでいるもので胎児の命綱である。
 「胎盤」の働きは、(1)母親と胎児の間のガス交換と栄養補給、母親の免疫機能を胎児に受け渡す。(2)胎児の発達、妊娠の継続に必要なホルモンをつくり出す。(3)胎盤の防御装置としての「関所」、自然の中にある毒物や大部分の病原菌などを通さずに病気から胎児を守る「胎盤関門」。ただし、ウィルス・アルコール・ニコチン・麻薬・ある種の薬や鉛、有機水銀など胎児にとって有害な物質を通してしまう。さまざまな有害物質は、一度胎盤をすり抜けてしまうと、後は一気にへその緒を通って胎児の体内に入り込んでしまう。
胎児は母親の胎内に居る約10カ月(約280日)間に劇的な成長を遂げる。殆どの臓器や器官は、受精後第8週目くらいまでにつくられる。受精後第3週目から第8週目くらいまでの時期は、胎児の感受性が非常に高く傷つきやすい時期であり「臨界期又は感受期」と呼ばれている。
胎児期が一生の健康を決定づけるといわれている。
胎児期から小児期を通じて大人との違いは、「消化吸収率が高い」、「代謝能力が低い」、「排泄機能が低い」という条件から、有害物質が体内に入ってきても体外になかなか排出されず、体内に長く留まってしまうことになる。
 私がこの分野に取り組み出した20年近く前に母親の羊水が石油臭いといわれたが、最近ではシャンプーのニオイがしてメーカーを当てられるくらいになっているともいわれている。シャンプー・リンスが経皮毒として体内に蓄積されているのだ。どれだけの人が知っているのだろう。恐ろしいことだ。
 最近、アメリカの大学の科学者が警告している情報を紹介しよう。妊娠中に子宮内でフタル酸エステルに暴露された男性胎児は、出生後に男性っぽい遊びを避け、女性らしい遊びを好むようになるというものである。生まれてくる男子の赤ん坊が女性化する傾向があるという報告である。フタル酸塩は可塑剤としてビニール製品の多くに含まれている。薬剤、特定医薬品のコーティング材としても使用されている。可塑剤については日本の専門家も以前から警告していた。環境ホルモンが精子数の減少につながることはよく知られているが、それらを含めて考えると、環境化学物質が少子化の原因にもつながっていると考えるのは間違ってはいないと思う。
 
■■ 第5回 シックハウス症候群は減少しているのだろうか

最近は「シックハウス症候群」という言葉を知っている人が多くなった。しかし、中高年のお父さんたちの中には「そんなものオレには関係ないよ」という人が多い。あなたも大切であるが家族のことを考えて欲しい。
 最近新しく建設された新議員会館に入居した議員がシックハウス症候群になったニュースを覚えていると思う。一方、「オレは関係無いから問題ではない」と云っている他党の議員が居た。その議員もいつ発症するかわからない。
シックハス症候群」というのは、わかりやすくいうと「新築やリフォームした後の建物に入ると症状が悪くなり、離れると症状が軽くなるもの」をいう。
 特に、室内に居る時間が長い主婦、子ども、高齢者に多い。もちろんお父さんよりも大切にしているペットも例外ではない。子どもは学校の環境で発症することが多い。以前は「シックスクール症候群」といわれることが多かったが、建物に関係するものは日本では「シックハウス症候群」というのが一般的になった。20年近くこの分野に取り組んでいる実務者としては「シックホスピタル」、「シックドラッグストア」、「シックカー」と云うこともある。
 いつの日か「化学物質過敏症」について述べることがあるかも知れないが、「シックハウス症候群」と混乱していることが多いので違いに触れておく。
化学物質過敏症」は「建物や場所に関係無く、いろいろな微量な化学物質によって発症するもの」をいう。原因が複雑で簡単に診断することはむずかしい。化学物質の体内蓄積量に関係し、シックハウス症候群を放置すると化学物質過敏症のキッカケになる可能性が高いので注意してほしい。
 2003年に「シックハウス法」が施行された後、建設業者の中には「もうシックハウスは無くなった」と云うヤカラが居る。減るどころか増えているというのが真面目に取り組んでいる業者に共通している実感である。
 消費者にも責任がある。見てくれさえ良ければ安くしてくれという考えが多すぎないだろうか。お金をかけないリフォームが最も発症しやすい。
 化学物質過敏症、アスベスト障害、電磁波障害は“静かな時限爆弾”として21世紀の大きな公害になると考えられている。
 きょうは、神奈川県大和市の「泉の森」という水源地を憩いの場としている自然に触れてきた。時期的に少し遅かったが彼岸花が群生し、池では親子が魚釣りをしたり、オジサンたちがバードウオッチングをしていた。家に閉じこもらないで、このような自然の中で新鮮な空気を吸っていたらシックハウス症候群にはなりにくい。
 
■■ 第4回 予防原則・REACH

予防原則:
 化学物質、遺伝子組換えなどの新技術、生態系の保全など幅広い分野を対象に、人の健康や環境に悪影響をおよぼす恐れがあれば、因果関係が科学的に十分証明されていなくとも、規制措置を可能にする制度や考え方をいう。“疑わしきは回避せず”という基本的な考えである。
 EU(欧州連合)は、アレルギーや発ガン性など、日常生活に使用されているすべての化学物質の安全性評価を企業に義務付ける規制を公表した。
REACH:
 2001年、EU(欧州連合)白書「今後の化学物質政策のための戦略」
 基本理念は、人の健康と環境を守るために、安全性が確認されていないままに多数の化学物質を市場に出すことを許した従来の化学物質政策を改めて、EUの化学物質規制を新たに一つに統合すること。
 上記の「予防原則」がベースになっている。
 REACHは、Registration, Evaluation and Authorization of Chemicals
の略である。

 私たちは産業革命以降に主として石油から作られた何百、何千種類という合成化学物質に囲まれて生活をしている。合成化学物質は、食料増産(殺虫剤・防虫剤など)や伝染病予防や医療(医薬)の発展、生活の便利さ(洗剤・防腐剤・防カビ剤・プラスチックなど)において私たちが大きな恩恵を受けており、合成化学物質が無い生活はあり得ない。電磁波障害も問題であるが、将来にわたって電気を使用しない生活は考えられない。それらをいたずらに否定するのではなくて、悪い影響を及ぼしている部分を正しく理解して、「予防原則」に基づいて上手く付き合うことを考えるべきではないだろうか。そのためには行政と関連業界は利益追求だけではなくて、注意しなければならないことをオープンにして国民に周知させる責務がある。技術的に改善できることは関連業界の責任で研究してほしい。バランス感覚が必要である。
 有害化学物質から子孫を守るためにも、「予防原則」を確立させることである。
 
■■ 第3回 日本人の免疫力が低下しているのはなぜか

私たちは、塩素入りの水を飲み、有害物質で汚染された空気を吸い、栄養価が減少している促成栽培された野菜を食べ、化学物質漬けの加工食品や肉、動物性脂肪、砂糖類が多い欧米食を多く体内に摂り入れている。その上に合成化学物質を多用した生活用品に囲まれて生活せざるを得ない環境に置かれている。
 第2次世界大戦後、日本人の免疫力が低下し、「生活習慣病」が急増している。
 免疫力低下の原因は何だろう。日本の食の自給率は40%を割っているということは多くの人が知っている。食べ物の約60%が海外から輸入されている。海外から時間をかけて運んでくるためには防腐剤や農薬をはじめ合成化学物質を使用しなければ技術的に無理である。
日本は高年齢が多いと言われているが、その高齢者は戦前戦中の質素な食事と自然環境にめぐまれ、真面目に働き多くの子供を育ててきた人たちである。免疫力が蓄えられているから元気で長生きしているのである。ところが戦後生まれの団塊世代と言われる人は、それぞれの許容量の約60%が有害物質として蓄積されていると言っていい。それだけで免疫力が低下している。その他、
はじめに書いたような環境汚染の中で生活していることは紛れも無い事実である。今の高齢者のように元気で長生きすることは期待できない。
 よく高齢者(私もその一人)が「オレたちは杉林の中で、スギ鉄砲遊びをしていたが花粉症にはならなかった」と威張っているのを見る。そう云っていた人がある日突然花粉症を発症することがある。スギの花粉だけでなく排気ガスの微粒子との関連があるともいわれている。花粉症はアレルギーやリウマチと同じ「自己免疫疾患」であることがわかっている。
 産業革命後に化石燃料からつくられた合成化学物質が増えている生活習慣病や難病(環境病)の元凶であると確信している。
 「活性酸素」という言葉を見たり聞いたりしていると思う。病気の原因の約90%は「活性酸素」によることは常識になっている。私たちは環境汚染によって過剰な「活性酸素」に囲まれて生活している。その「活性酸素」の最大のものは化学物質である。
 健康な人の基礎体温は36.5℃である。ところが最近の日本人の平均体温は35.5℃といわれている。体温が1℃下がることによって、免疫力・基礎代謝が37%下がり、体内酵素の働きが50%下がるといわれている。
アレルギーも3人に1人といわれている。「シックハウス症候群」も「化学物質過敏症」もいつ誰が発症しても不思議ではない。明日はわが身である。関心を持つことは予防の第一歩である。
 
■■ 第2回 「見える科学」と「見えない科学」

科学技術は日進月歩です。残念に思うことが多いのは、新しい改善方法が開発されても学者が認めないことについて行政は認めません。海外でデータに基づいて検証されており認可されている方法や製品が、日本で認可されていないために使えない例が多いと思います。
 科学には「見える科学」と「見えない科学」があると思っています。
 「見える科学」とは、十分に時間をかけデータが揃っており理論的に検証されているものです。実績もあるため学者は認めます。「学者が認めている」ために行政も一般の人も認めます。
 「見えない科学」とは、新しい技術や方法などで理論は認められていてもデータが少ない。データがあっても完全に検証されていないため学者は認めません。一般の人も「学者や行政が認めていない」ために関心が低いものです。
 過去の公害や薬害を見れば明らかなように、環境や健康問題に関しては「見える科学」として認知されるためのデータとは犠牲者数を意味することもあります。「見えない科学」の方がはるかに多いと思います。
薬のように体内に取り込むようなものについては、エビデンス(科学的根拠)が大切であることは言うまでもありません。
例えば公害や難病などに対しては、不作為や機会損失による犠牲者数をできるだけ少なくする配慮が必要ではないかと思います。救える人を救えないという現実をみることは実務家として大変つらいものがあります。対応のスピードアップが望まれます。
 特に医療分野においては、昨日までの理論が全く逆になる「天動説」と「地動説」に近い事例も多いです。ただ、そのことを検証するために多くの時間がかかります。日本に優秀なドクターが居ながら海外に救いを求めなければならない実態などについても患者の立場で改善できないだろうかと思います。
 いつの日か学者と実務家がそれぞれの立場を認めて協力しながらスピーディに問題解決できる時代が来るといいな というのは私の“ひとりごと”です。
 
■■ 第1回 身近な環境と健康

 私たちは20世紀に便利さと快適性を追求し、豊かな生活ができる環境を得ることができました。その結果、負の遺産として新たな環境問題を抱えることになりました。21世紀は「持続可能な自然との共生」によって環境を取り戻すことが大きな課題になっていることはご存知のとおりです。
 日本では、戦後の経済発展にともなう環境汚染はいうまでもなく、食生活や生活スタイルの変化によって、国民の免疫力が低下し有害化学物質の体内蓄積量が増えています。その結果、「生活習慣病」(環境病)が増え低年齢化しています。ガン・心疾患・脳血管疾患が「3大生活習慣病」と呼ばれ、死亡総数の約60%を占めています。その主な原因は、さまざまな環境のストレスからといわれていますが、中でも「住環境の悪化」(特に室内空気汚染)が働いている人や住んでいる人の健康や心の病が増えている要因になっているのではないかと考えています。
 オフィスビルや工場などを職場環境という視点で見ると安全第一が優先され、健康や心の問題が後回しにされていないでしょうか。
私たちは人生の約90%を室内で過ごしています。「最も身近な環境」は「室内環境」と身近な「屋外環境」であるといえます。
 「室内環境=囲まれた環境」と定義づけると、大型建物・病院・工場・マンション・戸建・飛行機・電車・自家用車なども規模の違いだけで同じです。
最近の建物はデザインや快適性は目を見張るものがあります。しかし、そこで働き住む人に対する“健康”配慮についてはいかがでしょうか。まだまだ「健康は自己管理の問題だ」という古い管理者の考えが残っていないでしょうか。
 健康に影響を与えるから環境が問題になっていると思います。私が健康に力を入れているのは、実務者として私たちを取り巻く環境の複合汚染によって人の免疫力が低下し、健康を害している現実を無視できないからです。
 健康と環境の問題は原因が複合的です。したがって改善するためには総合的に取り組まなければなりません。
 これからの住まいは、子供や高齢者が安全に安心して住める環境を作り上げることが必要だと考えています。
 そのためにもEUでは常識となっている「予防原則」を我が国にも広め、定着させることができればと思います。一般消費者には「予防生活」を勧めたいと考えています。
 
 
 
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