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オフィス原状回復ガイドライン研究会
第1回 店舗・オフィス等の事業用建物賃貸借における原状回復特約の効力について
 

■■ 第1回 店舗・オフィス等の事業用建物賃貸借における原状回復特約の効力について


1.原状回復特約についての判例の流れについて

(1)民法の規定する賃貸借契約における借主の通常使用に伴う損耗分についての原状回復義務の考え方は、事業用の建物であっても、居住用の建物の場合と同じように貸主負担とするのが原則である。

(2)もっとも、この民法の考え方は強行法規ではなく、契約自由の原則の下、当事者の合意によりこれと異なる特約をすることは可能である。そこで、原状回復特約も、契約自由の原則の下では有効であり、さらに、事業者間契約においては消費者契約法の適用はない以上、賃借人に著しく不利であったとしても、当該特約は有効であると主張する賃貸人は多い。

(3)確かに、かつての判例においては、オフィスビルの建物賃貸借契約に関して「自然損耗・磨耗も原状回復の対象とするという特約も有効である。」とし、特約に基づく賃借人の現状復義務を全面的に肯定した判例がある(東京高判平成121227)

しかし、右判決は、新築のビルの賃貸において、賃借人が賃借物件において壁面のクロスや床面タイルカーペット等に著しい汚損を生じさせ、全面張替えが不可欠と判断された事案であった。また、賃借人に対する請求額が、業者の工事費用見積もりの中で最も低額であったことに照らし、原状回復費用としての相当性が認めたものであり、この判例の結論がオフィスビル一般の通常損耗の場合に等しく適用されると捉えるのは早計に失する。

事実、その後の事務所賃貸借の判例の中には、事務所の小規模性を理由に「本件賃貸借契約は、その実態において居住用の賃貸借契約と変わらない」として、原状回復費用を、いわゆるガイドラインにそって算定するべきであると判示したものもある(東京簡裁平成17年8月26日)

(4)さらに、その後最高裁判所において、原状回復特約が認められる条件として「賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸契約書では明らかではない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」という基準が示され、通常損耗を含む趣旨であることが「一義的に明白」であるとはいえない場合には、通常損耗を含む原状回復義務を賃借人に負担させることが出来ないという判断が下された(最高裁判所平成17年12月16日判決)

これは賃貸住宅の事案ではあったものの、その後の大阪高裁の営業用建物に関する事案おいて、この最高裁の見解がそのまま踏襲され、営業用建物の賃貸借における原状回復特約の成立が否定されるに至っている(大阪高裁平成18523)

2.結論

以上の流れからみるに、オフィスビルにおける原状回復特約を全面的に肯定した<東京高判平成121227日>は、その内容において必ずしも一般性を持つものではないばかりか、現在の判例の流れの中において既に埋没した旧来のものであり、現在のオフィスビルの原状回復特約の有効性を考える上で、特段の意味を持つものではない。

日住検としては、居住用・営業用を問わず、賃貸借契約において通常損耗分について借主に負担させるためには、あくまでその旨の明確な特約がなされたと認められる場合でなければならず、その特約の記載が、通常損耗を含む趣旨であることが一義的に明白であるとはいえない限り、その明確性は肯定されないものと考える。

 
 
 
 
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