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丸岡 康人 氏(Yasuto Maruoka)
ドイツ技研有限会社 代表取締役


第1回 再生可能エネルギーと地域再生

■■ 第1回 再生可能エネルギーと地域再生

バイオガスが築く活路
ドイツのバイオガスが脅かされている。この状況は、日本のバイオガス生産に注意を促しているともいえる。環境保護の観点から、原料には作物より家畜の排泄物や有機廃棄物が適している。この比較的 低いガス発生量に対処するため、メタン発酵のプロセスを最適化し、発酵槽の性能を高めることが必要になる。バイオガス発電は制御性に優れ、変動する発電に対応できる。仮想発電所(VPP)との連携が期待される。電気より、むしろ熱エネルギーを多く生み出すバイオガスは、地域暖房などを通じ地域再生への道を拓く。

ドイツのバイオガスにダブルパンチ
一つ目は、「エコ」と言われていたバイオガスの急激なイメージダウンだ。2000年以降、ドイツで急成長したバイオガス生産。現在、約9,000台のバイオガス装置が稼働している、国からの補助金と技術改良の成果だ。バイオガスは電力だけでなく、熱や燃料にもなり、「万能エネルギー」ともいえる。ドイツでは、バイオガスが再エネの重要な要素となっている。しかし、この原料にトウモロコシなどが大量に使われ始めると、手のひらを返したように 「食糧危機を招く」、「エネルギー作物は土壌を劣化する、農薬で地下水が汚染される」と批判を浴びるようになってしまった。

二つ目のパンチは、“EEG(再生可能エネルギー法)2017“。新たに取り入れられた入札制度により、農夫らがバイオガス装置で発電した電気の価格が下がってしまう。有利(安価)な条件を出した者だけが国から支払いを受けられる。その一人、既に操業を始めている技術者は、2024年から1 kWh当たり16,9 Cent (約22円)を得ることになった。彼は、「これでも最高額なんだ」と満足していない。新しい買取価格では採算割れに追い込まれる危険がある。この入札制度の理由として、ドイツの連邦経済エネルギー省はホームページに記載している:「再エネは成長した、市場で競合するのに十分になった」。

新たな思考
前述の問題は、他人ごとではない。日本のバイオガス生産に新たな思考を強制している。地域再生を図るには、自然環境保全を意識し、バイオガスを経済的に生産し、地元で活用するのが良い。要求される主な事項は:
1)発酵プロセスを最適化する。発酵槽の性能を高める。
2)メタン発酵の原料として、主に家畜の排泄物や有機廃棄物を使用する。
3)調整エネルギーを電力市場に提供する。

牛に学ぶ
バイオガス生産の基本は、自然界の消化プロセス。その手本と言われるのが牛の消化器官。それをバイオガス装置に想定し、メタン発酵の微生物学的原理を図1に示す


図1: 牛の消化器官を手本にしたメタン発酵の原理

図1は、原料中の有機物が、3種類のバクテリア(細菌)により メタンまで分解されるプロセスを示す。牛にとって重要なのは、飼料に含まれた高分子をプロピオン酸(C3H6O2)にすること。それが牛のエネルギーになる。バイオガス装置では、低分子化(C3→C2)が進められ、酢酸(C2H4O2)が生成される。それがメタン(CH4)になる。
発酵プロセスを最適化するとは、バクテリアに居心地の良い環境を与えること。だが、装置に原料を入れ過ぎると、有機物が分解されないまま発酵槽から流れ出てしまう。最大で、どのくらいの量の有機乾燥物質(oTS)を発酵槽に入れられるか実験で知っておく必要がある。装置性能の指標ともなる この値は、「容積負荷」といわれる:



ここで、は有機物質(バイオ懸濁液)の質量流量、は発酵槽の容積、はバイオ懸濁液が発酵槽に入る流量、は懸濁液中の有機物濃度とする。が大きいほど、その発酵槽は高性能といえる。

家畜の排泄物は「カネのなる木」
乳牛100頭を想定する。一般的な容積負荷: = 3.0 kg oTS/m3・dで計算した結果を下の表にまとめる。

バイオガスから得られるエネルギー
原料乳牛100頭の排泄物
熱エネルギー17,280 kWh/月
電気エネルギー8,640 kWh/月・39円/kWh = 336,960円/月

上の表で、電気エネルギーは二次的なものとはいえ、月33万と、けして多くはない。容積負荷をもっと上げたい。
上記の式から、BRを大きくするためには、を小さくすればよいことは分かる。そのためには、物質移動係数や界面積を大きくする必要がある。嫌気性汚水処理の開発では、100倍もを上げた例がある。

熱エネルギーは、地域暖房やスイミングプール、温室、養殖場など、年間を通して熱を必要とする所に特に興味深い。熱やガスの利用を促進するには高額な投資が必要だ。だが、それが需要を喚起し、地域経済を活性化する。現実に、南ドイツには住民100人ばかりの農村が、バイオガスを利用して地域暖房にしている所もある。そこでは、家畜の排泄物を草やトウモロコシと半々に混ぜて原料にしている。

バイオガスが調整エネルギーに
図2にドイツ国内における実際の発電量と消費量を示す。今年、1月下旬のデータである。色により発電方式が異なる。朱色の線は消費量。消費量も、発電量も、バイオマス(緑色)と水力(薄水色)発電以外は、大きく変動している。発電量の変動は、電源周波数を一定にさせるために好ましくない。特に回転数を正確に保たなくてはならない機器には大きな問題となる。


図2: ドイツ国内の発電量と消費量

そこで考えられるのが、天気や時間帯に左右されず、安定した発電を可能にするバイオマスの利用だ。他の発電方式と異なり、素早く発電量を調節できる。これを調整エネルギーとして使い、電圧だけでなく、周波数も均一にすることができる。既にこれをビジネスにして、仮想発電所としている企業もある。ドイツでは、バイオマスによる発電量の60%以上がバイオガスから生産されている。バイオガスこそ地域再生の活路を築くとみるべき時だ。

謝辞 Herrn Bernd Nielandt sei fur den Meinungsaustausch gedankt.
 
 
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