トップ
トップページ
ご挨拶

ご挨拶

協会の活動

活動理念

委員会・研究会
委員
敷金診断士

敷金診断士とは

試験案内
認定敷金診断士一覧
建物検査内容
住まいの維持管理
検査点検費用
協会の概要

協会の概要

組織図
案内図
お問い合わせ
よくあるご質問
お問合せ

 


「コラム」一覧へ
三津川 真紀 氏 
東京工業大学大学院総合理工学研究科 研究員
経営コンサルタント

第7回 中小不動産業の成長戦略を考える7
第6回 中小不動産業の成長戦略を考える6
第5回 中小不動産業の成長戦略を考える5
第4回 中小不動産業の成長戦略を考える4
第3回 中小不動産業の成長戦略を考える3
第2回 中小不動産業の成長戦略を考える2
第1回 中小不動産業の成長戦略を考える

■■ 第7回 中小不動産業の成長戦略を考える7

前回、第六回目は、中小不動産業の関連する新たな市場へのアプローチ方法について、(1)高齢者の住み替え支援、(2)リフォーム付き中古住宅の仲介、(3)外国人対応を例に挙げた。
第七回目は、近年高まっている地球温暖化防止対策や節電・省エネに対する関心を受け注目を浴びている「次世代住宅」について書いてみたい。
次世代住宅を語る際の一つのキーワードは、“IT革命による高度情報化現象と住まいの変化”である。
エレクトロニクスや通信技術の急速な発展による高度情報化の波は、近年、住まいにまで及んでいる。
例えば、昼間の太陽光を利用して蓄電池に電気を蓄え、蓄えた電気を夜間に使用したり、自動車を走らせることが出来るようになった。
更には、省エネ性能に優れた家電同士をネットワークで繋ぐことで、自動制御機能を使った消費電力のコントロールが可能になった。
こうしたIT(情報技術)を横断的かつ有機的に活用することで、より理想的で快適な暮らしを可能にしてくれるのが、「次世代住宅」と呼ばれるものである。
現在、次世代住宅についての明確な定義はまだ存在しておらず、その解釈も様々ではあるが、その特徴とメリットを整理すれば次の(1)〜(5)におおよそ大別される。
(1)快適性・利便性
次世代住宅の大きなメリットの一つである「省エネ」を実現する為に、次世代住宅には構造上、様々な工夫がなされている。
「高気密・高断熱」「家庭内のネットワーク化」も住まいの快適性や利便性に通じる次世代住宅の特徴である。
(2)安全面・防災面
東日本大震災やそれに続く計画停電により、今日、電力供給への不安や節電意識が高まっている。
次世代住宅には災害によって電力供給が一時的にストップした場合にも対応出来るような、安全・防災視点で開発された技術が多く組み込まれている。
(3)健康面
少ないエネルギー量で温度調節が可能な次世代住宅は、快適な暮らしを低コストで実現出来るだけでなく、温度差が引き起こすヒートショックや、化学物質による健康被害の発生を抑えるなど、そこに住まう人の健康にも配慮されている。
(4)環境(エコ・省エネ)面
次世代住宅は地球環境への負荷を減らし、エコを実現する側面を持っている。
少ないエネルギー量で温度調節を可能にした結果、冷暖房の使用を大きく減らし、CO2の排出を抑制するとともに、太陽光発電に代表されるクリーンな自然エネルギーを活用することで、二重三重に環境面に配慮されている。
また、家庭内におけるエネルギー使用状況を見える化することにより、省エネも実現する。
あらゆる角度で環境に優しいのも、次世代住宅の特徴である。
(5)経済(費用)面
家庭内のエネルギー使用量の効率的なコントロールによる経済効果への期待の他に、正しい断熱による住宅の長期化や電気自動車の使用によるガソリン代の節約等のメリットがある。

我々の扱う住まいや住まいに関する情報は、時代背景をベースに進化し続けてきた。
IT革命によって成熟した高度情報化時代を迎えた今、住宅・不動産業界もこうした時代背景が住環境に与える影響を踏まえ、次のステップに進むべく過渡期を迎えているのではないか。
中小不動産業としてユーザーのニーズに的確に応えていく上でも、次世代住宅を知り、今後対応し得るだけの準備をしておくことは必要だろう。

■■ 第6回 中小不動産業の成長戦略を考える6

前回、第五回目は、中小不動産業の事業展開の2つの方向性である「地域密着」と「顧客密着」の強化にあたって、そのサービス例と各社の具体的な取り組みについて書いた。
今回は、関連する新たな市場へのアプローチ方法について整理する。
中小不動産業者にとっての今後の成長分野の一つに、(1)高齢者の住み替え支援が挙げられる。
総人口の減少、少子高齢化の進展、特に高齢の単身や夫婦のみの世帯の増加に伴い、高齢者の生活への不安が高まる一方、高齢者人口の増加に対応した新たなビジネスチャンスの拡大が期待されている。
国土交通省は、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅を確保することが急務であるとして、高齢者の居住の安定を確保することを目的とした「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度を創設し、併せて供給支援も行っている。
高齢者の住み替え支援にあたっては、住み替え前の住宅についての仲介業務が発生することや、高齢者の資産活用や相続支援など、仲介業務周辺におけるコンサルティングに対する需要も大いに期待できる。
次に、(2)リフォーム付き中古住宅の仲介も期待出来る成長分野の一つだろう。
これまで中古住宅を購入する際の大きな懸念事項であった資金や品質への対応として、購入からリフォーム、アフターメンテナンスに至るまでの一貫したサービスを提供したもので、最近では物件購入費用とリフォーム費用を一括した住宅ローンや住宅瑕疵保険のパッケージ提供までも可能にした住宅再生における新たな商品サービスが誕生している。
政府の打ち出している住宅ストック活用、リフォーム推進目標を踏まえ、国土交通省は「不動産流通市場活性化フォーラム」を設置、円滑な不動産取引の為の情報提供や流通システム整備等に関して提言しており、ここでも中小不動産業者の積極的な参画が期待されている。
このリフォーム付き中古住宅の仲介を行う上では、買主が安心して中古住宅を購入するにあたって必要な情報提供が重要である。
この情報提供の一つである住宅性能表示は、平成14年8月以降、新築・中古を問わない、全ての住宅を対象とした制度となっている。
しかしながら戸建て住宅の制度普及率は分譲マンションに比べると半分以下となっており、今後良好な住宅ストック市場を目指すにあたっては、この制度の普及促進も期待したいところである。
また日本再興戦略では、既存住宅の長期優良住宅化に向けた基準の整備も示されている。
良質な住宅ストックを作り、活用していくという大きな潮流の中で、中小不動産業者が果たす役割は大きそうだ。
他にも、昨今、国や自治体がアジア資本の誘致を求めており、日本で働く外国人の住宅購入が目立っている。
東京オリンピックが決まり、ますます対日投資が促進されていけば、今後ますます日本に住む外国人が増える可能性は高い。
その為、(3)外国人対応も今後の成長分野の一つだろう。
業界動向の先に見える成長分野の中に、中小不動産業に期待されている役割があるように思う。

■■ 第5回 中小不動産業の成長戦略を考える5

前回、第四回目は、中小不動産業の事業展開の方向性である「地域密着」と「顧客密着」について書いた。
今回はこの2つの方向性の強化にあたって、そのサービス例と各社の具体的な取り組みについて整理する。
持続可能な経営基盤を確立するには、短期的な収益機会の追求だけでなく、中・長期的な地域活動が必要であることは前回述べた通りである。
「地域密着」型のサービスを地元の自治体と連携・協働し、継続的に実施していくにあたって今後キーワードとなる活動例としては、(1)レジリエンス対策(災害対策・復興支援)(2)地域コミュニティ支援、高齢者見守りサービス(3)空き地、空き家対策などが考えられる。
国の掲げるレジリエンス政策(国土強靭化政策)に関する基本的な施策のうち、特に中小不動産業に期待される施策は、A.大規模災害に対し強靭な社会基盤の整備等B.地域間交流・連携の促進C.地域共同体の維持・活性化、およびこれら国の施策を勘案し、区域の諸条件に応じた施策の実施である。
(1)は、東日本大震災の被災地・被災者向けサービスの提供のみならず、今後の首都圏等の災害リスクが指摘される中、災害発生に備えて平時より不動産業者が自治体との連携を強化・維持するにあたっての手段であり、このことは地域における不動産業者の存在感を示す上でも重要である。
そして広義では(2)、(3)にも通じる、この5年、10年の不動産業のベースとなる取り組みであろう。
(2)は、単独・高齢世帯の増加を背景としたいわゆる孤独死問題等に対する活動例である。
東日本大震災以降、地域との繋がりやコミュニティの重要性が改めて認識され、コミュニティ作りに積極的に取り組む自治体も少なくない。
不動産会社が有償で高齢者等の安否確認サービスや見守りサービスの提供を行っている例もある。
これらのサービスは短期的に採算性を確保することは難しいが、仲介業務の延長、付加的なサービスの提供として、成約単価のアップ、あるいは有償管理への転換に繋がることが期待できる。
(3)は、地方都市では既に顕在化している市街地の空き地、空き家に対する活動例である。
東日本大震災では被災者向けの避難用住宅等の提供にあたり、多くの民間賃貸住宅が活用された。
こうした災害対策として居住可能な空き家の把握および再生活用は今後ますます検討されることだろう。
ここにも地域の情報に精通した不動産業者の活躍が大いに期待される。
以上のような不動産業者の特性を活かした地域密着型サービスを展開していくにあたり、ベースとなる考え方、スタンスが「顧客密着」である。
昨今の顧客ニーズの多様化に対応していくには、より一層の顧客密着により、一つ一つのニーズを把握し、的確な情報提供を行うことはもちろん、不動産取引に係る周辺分野にも積極的に関わっていくことがこれからの中小不動産業者に求められていることはご存知の通りである。
住宅購入にあたりコンサルティング契約を結び、最終的な成約に関係なく仲介手数料とは別にフィーを得ている企業も多く出てきた。
「中小不動産業として何を目指し、誰の為にどんなサービスを提供し、何に対して貢献するか」
“レジリエンス”という外部ファクターをヒント(機会)として、業としてのあり方、経営ビジョンを再考してみるのも一つかもしれない。
次回は、関連する新たな市場へのアプローチ方法について書いてみたい。

■■ 第4回 中小不動産業の成長戦略を考える4

前回、第三回目は、中小不動産業の持続可能な経営の為の具体的な方策について書いた。
今回は中小不動産業の事業展開の方向性について整理する。
第一回目で述べた通り、中小不動産業者の大きな強みは「地域密着」と「顧客密着」によるサービスの提供である。
しかしながらこれら強みを活かしきるだけのプラットフォーム(経営基盤)が確立されていないこと、そしてこれら強みを活かした今後の事業展開における具体的な方向性が未整理であることが中小不動産業の持続可能な経営を阻んでいる本質的な課題として挙げられている。
したがって中小不動産業の事業展開の方向性について整理するにあたっても、キーワードは「地域密着の強化」と「顧客密着の強化」である。
不動産業をめぐる社会経済環境の一つとして、30代、40代の住宅取得世代の人口の減少傾向と、65歳以上の高齢者人口の増加が挙げられる。
不動産流通の一つの契機である人口移動の主役を担っていた若年層世帯の減少と高齢者人口の増加により、地元志向の傾向が強まっていることが指摘されている。
人が動かないのであれば人に動いてもらう(来てもらう)ことが必要であり、短期的な収益機会の追求だけでなく、中・長期的な地域活動によって自らの営業基盤である地域に人を呼び込む為の方策が自らを助けることに繋がっていくのではないだろうか。
この方策、つまり地域密着型のサービスを継続的に実施していくにあたって前提となるのは、地元の自治体との連携と協働である。
自治体の行うまちづくりや住宅、福祉関連などの施策において、実施局面のみならず、政策の形成過程においても積極的に関わることで、より地域密着型の活動の成果を享受できるだろう。
また忘れてはならないのは中小不動産業者の提供するサービスとは、住宅そのものといったハードではなく、情報というソフトを、消費者のライフサイクル、ライフスタイル全般に対するアドバイザーとして提供していくところにあるということである。
顧客との情報格差で成り立ってきた不動産業の存在意義の根幹は、客観的かつ公正公平な立場において顧客に的確な情報を提供し、その理解と判断を助け、ニーズの実現に導くところにある。
昨今、先に述べた社会経済環境の変化により、消費者ニーズ全般において多様化する傾向が見られており、今後もその傾向は強まるものと考えられる。
それらに対応する為には、より一層の顧客密着により、一つ一つのニーズを把握し、的確な情報提供を行うことはもちろん、不動産取引に係る周辺分野にも関わっていくことが求められている。
総じて、中小不動産業者としての強みを活かしつつ、大手不動産業者との差別化を図っていく上では、媒介という概念に固執することなく、売主または買主のニーズに対応したコンサルティング業務を積極的に展開していくことが、顧客満足の向上という観点からも中小不動産業者として目指すべき一つのあり方なのではないだろうか。
次回は、「地域密着の強化」「顧客密着の強化」のサービス例と各社の具体的な取り組みについて書いてみたい。

■■ 第3回 中小不動産業の成長戦略を考える3

前回、第二回目は、中小不動産業の持続可能な経営を支えるプラットフォームの確立について、その必要性と方向性を整理した。
今回はその為の具体的な方策について考えたい。
まず一つは、「コンプライアンスの徹底」である。
ここで言う“コンプライアンス”とは、自身の企業体や組織のリスクマネジメントとしての法令遵守という意味にとどまらない。
法律・法令のみ遵守していれば良いというものではなく、業界ルールや社内ルール、企業倫理をはじめ、広く社会倫理までを意味するものでなければならない。
非日常的な不動産取引は、消費者と業者との知識や情報、経験の格差で成り立っているものであるから、だからこそ消費者との信頼関係の構築は、前回述べた事業展開における方向性の一つである“顧客密着”を確立していくにあたっても当然の前提でなくてはならない。
二つ目は、「消費者に対する情報発信の強化」である。
地域密着の業態である中小不動産業者にとって、インターネットの普及は、集客活動や営業活動のあらゆる局面で大きな変化をもたらした。
今やほとんどの不動産業者がWEBサイトを通じた情報発信を行っている反面、その頻度や精度、範囲に関して個別に見てみると、十分にインターネットを活用出来ている中小不動産業者はまだまだ少ない。
またソーシャルメディアの急速な普及が、消費者に対し、印象や評判の口コミといった不動産会社選びの判断基準を与えている。
情報発信の重要な媒体であるインターネットの積極的な活用は、今後の事業機会の拡大にも結び付いていくものであるが、同時に日々目まぐるしく変化するインターネット環境に対応し、情報発信を強化していくことは容易ではない。
対面でのやり取りが基本である中小不動産業が、消費者に対する情報発信を強化していくにあたっては、インターネット利用の啓発と正しい活用を促すコンプライアンス教育と同時に、メール・リテラシーの強化も必要である。
三つ目は、上記を踏まえた「従業員教育の充実」である。
中小不動産業の特徴として、従業員の定着率の悪さとES(従業員満足)の低さが挙げられる。
従業員の定着率が悪い為、教育に投資することが出来ず、結果、満足度も落ちるという負の連鎖が起きている業者も少なくない。
どの点でこの連鎖を断ち切るかは悩ましいところであるが、業としてのプラットフォームの再確立、事業者としてのアイデンティティの再確立が求められている中小不動産業の置かれた状況を鑑みれば、従業員教育の底上げの必要性は不可欠であろう。
また、顧客満足を追求する業態にあっては、従業員満足の向上を図ることが重要であるとの見方もある。
従業員教育が最大限の効果を発揮することで従業員満足が向上し、ひいては顧客満足に繋がる。
その為にいかに従業員の定着率向上を図っていくか。
顧客との信頼関係の構築の前に、従業員との信頼関係を改めて見直す必要があるのかもしれない。
次回は、中小不動産業の事業展開の方向性について書いてみたい。

■■ 第2回 中小不動産業の成長戦略を考える2

中小不動産業における今後の事業展開の在り方について考察するにあたり、前回、第一回目は、中小不動産業を取り巻く環境について整理し、その取り巻く社会・経済環境の大きな変化により、業としてのプラットフォームの再確立、事業者としてのアイデンティティの再確立が求められていることについて述べた。
第二回目からは、中小不動産業としてのプラットフォームの確立と、それに必要な事業展開における方向性について整理してみたい。
まず今回は、中小不動産業の持続可能な経営を支える本質的な課題、つまり経営のプラットフォームの確立について、その必要性と方向性について考える。
宅地建物取引業者の統計を見ると、毎年、全宅地建物取引業者の約5%程度の新規参入および廃業があり、また残存率についても厳しい状況が確認できる。
不動産業は社会・経済情勢の影響等によって長期の事業継続を行うことが難しいという表れである。
そもそも中小不動産業の持続可能な経営を実現するには、日々の業務における課題も重要ではあるが、経営基盤(プラットフォーム)の確立が必要となる。
これにはまず、中小不動産業の業としての在り方を再考した上で、明確な経営ビジョンを設定しなければならない。
インターネットの普及で消費者との情報格差が縮まることにより、仲介業を中心とする中小不動産業者にとっては、物件情報の提供というビジネスモデルの根幹が揺らいでいる。
規模の経済がきかない中小不動産業にとって、その在り方を考える上でキーワードとなるのは“顧客密着・地域密着”以外にはない。
例えば、不動産取引そのものに関わるだけでなく、消費者のライフスタイルやライフステージ全般に対するアドバイザーとしてのスタンスや、高齢者の見守りや地域コミュニティに対するアドバイザーとしてのスタンスなど、地域で暮らす人々の生活に寄り添ったサービス提供者という在り方は中小不動産業のアイデンティティといえるのではないか。
2020年東京オリンピックの開催が決まり、業界内にも“株や不動産価格も上がり、景気の回復も加速する”といった明るい見通しが聞こえてきている。
確かに新興国であれば大きな経済効果が生まれるが、成熟した先進国でどこまでその効果を持続的に期待できるかについては慎重にならなければならない。
また都市間格差の拡大も気になるところだろう。
「中小不動産業として何を目指し、誰の為にどんなサービスを提供し、何に対して貢献するか」
保有する経営資源や地域の特性等を考慮し、新規参入業者のみならず、既存の不動産業者にあっても、業としての在り方、経営ビジョンについての再考が必要な時にきているように思う。
次回は、中小不動産業の持続可能な経営の為の具体的な方策について書いてみたい。

■■ 第1回 中小不動産業の成長戦略を考える

不動産業のこれからはどうなるのか。
目指すべき将来像とは何なのか。
社会・経済情勢の変化や増税等、不動産市況を左右するファクターと将来見通しのもとに、不動産業、とりわけ中でも大多数を占めている中小不動産業における今後の事業展開の在り方について、数回にわたって書いてみたい。
第1回目は、中小不動産業を取り巻く環境について整理する。
中小不動産業の状況は、その取り巻く社会・経済環境の大きな変化により、近年、これまでの仲介サービスが抱える課題を浮き彫りにし、業としてのプラットフォームの再確立、事業者としてのアイデンティティの再確立が求められている。
この再確立を考えるにあたって、外部ファクターから今後の事業機会を整理すると、高齢者世帯・単身世帯の増加、既存住宅流通量の更なる拡大、消費者の価値観の多様化などが挙げられる。
中でも、消費者の価値観の変化は、IT(ICT)のインフラ化による情報格差の縮小、生活防衛や節約志向による住宅購入に対する意識や基準の変化に大きく表れ、関連する事業機会を拡大させている。
次に、内部ファクターから事業特性を整理する。
そもそも不動産業は、中小規模な事業者が圧倒的多数を占めており(従事者数4人以下の宅地建物取引業者が80%)、また、個々の不動産業者が対応する業務の範囲は非常に幅広く、多岐にわたっている為、不動産業のみを専業としている業者ばかりではない。
したがって、ここでいう不動産業は不動産流通に携わる仲介業および一部管理業を含めた範囲とすると、不動産業はメーカーである工務店や小売業としてのリフォーム業と異なり、サービス業として位置づけられ、そしてその商品は情報ということになる。
不動産業は大手、中小に関わらず、本来、地域密着型の産業であるが、この特性は大手の多店舗化や従業員のローテーションなどを考えると、中小不動産業の方がより強いと考えられる。
外部ファクターとして述べた消費者の価値観の変化への対応、例えば情報化への対策をはじめ、事業の多角化、人材の確保が大手に比べると難しい点や、そもそも情報量が乏しいといった弱みはあるものの、この地域に密着、顧客に密着したサービスの提供こそが中小不動産業者の大きな強みなのである。
このように中小不動産業者のアイデンティティは、住宅そのものといったハードを扱わず、情報やサービスというソフトを、消費者のライフサイクル、ライフスタイル全般に対するアドバイザーとして提供していくところにある。
同時に中小不動産業の持続可能な経営を阻んでいる本質的な課題が、これら外部・内部ファクターの影響に耐え得るだけのプラットフォーム(経営基盤)が確立されていないところにあり、各ファクターを踏まえた事業展開における具体的な方向性の整理が急がれる。
次回は中小不動産業としてのプラットフォームの確立と、それに必要な事業展開における方向性について書いてみたい。
 
 
内閣府認証特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会 copyrught(C)Nihonjyutakuseinoukensakyoukai all copyrights reserved.