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森 正行 氏
マンション管理士
宅地建物取引主任者

第16回 滞納管理費等の請求について
第15回 自主管理について
第14回 管理費の見直しについて
第13回 修繕積立金の見直しについて
第12回 修繕積立金と管理費の区分けの必要性について
第11回 将来の修繕という観点から見たマンション購入の問題点について
第10回 修繕積立金の「持ち逃げ」や「使い込み」の問題について その2
第9回 修繕積立金の「持ち逃げ」や「使い込み」の問題について
第8回 ペット問題について2
第7回 ペット問題について1
第6回 理事の人数・任期について
第5回 理事長職の権利・義務について
第4回 理事の選任問題について2
第3回 理事の選任問題について1
第2回 水溜まりの解決
第1回 マンション漏水問題について
 
■■ 第16回 滞納管理費等の請求について

前回は、「自主管理」について考えました。今月は、「滞納管理費等の請求」をテーマにします。

滞納管理費の問題は、滞納していた区分所有者の交代がある場合と無い場合でかなりの違いが出てきます。まず先に前者の場合について考えましょう。
持ち主が変わる場合には二つの場合があります。一つは前の持ち主が死亡して相続人が相続したような場合です。この場合を包括承継と言います。もう一つは、前の持ち主が売却したような場合です。この場合を特定承継と言います。
まず包括承継については、相続などによって前の持ち主の権利義務の全てが新しい持ち主に引き継がれますから、新しい持ち主に滞納管理費等を請求できます。
次に特定承継の場合ですが、管理組合は、前後の持ち主に対して、各々全額の請求ができます。滞納管理費が50万円だとして、前の持ち主に25万円、新しい持ち主に25万円の請求ができるのではなく、両者に対して50万円の請求ができます。但し、二重にもらえるわけではありません。どちらかより全額の返済を受けた時点で請求はできなくなります。法律は、滞納していた以前の区分所有者より当該不動産を購入した者にも過去の滞納分を支払う義務があることを認めています。
実際、区分所有者の交代があった場合には、滞納が解消されることが多くみられます。
問題は、区分所有者の交代がないまま滞納が続いた場合です。管理費等の滞納者に対する督促をどのように行うかは、多くの管理組合にとって頭の痛い問題となっています。
ある大手のマンション管理会社では、次のような方法をとっています。管理費は口座振替により毎月引き落とされているケースがほとんどです。
1ヶ月分が滞納された時点で管理会社の担当者より滞納者へ引き落とされていない旨連絡し、口座に管理費相当額を残高として残すように連絡します。
3ケ月分の滞納がハッキリした時点で、マンション管理組合の理事長名で管理費の支払督促状を発送します。
6ヶ月分滞納した場合は、内容証明郵便による督促状を発送するというものです。
サイクルの違いはあれ、多くの管理会社では、電話による請求→文書による請求→内容証明郵便、最終的に「少額訴訟」というコースで、進めています。
これで滞納が解消されれば問題ないのですが、実際には一時的に解消しても再度の滞納がすぐに発生したり、滞納額の一部だけが入金され、滞納状態の解消にはつながらないケースも多く残っています。
管理組合としてまず最初にやるべきことは、滞納者の状況を把握すべきです。単に怠けているだけなのか、本当にお金が無いのか。家族構成や生活状況、ローンの有無などをできる限り調査し、効果的な解決策を滞納者と一緒に考えてやる必要があります。
滞納者と言っても区分所有者ですし、コミュニティの一員です。単なる金貸しのように取り立てをしていても問題の解決にはなりません。かえって、揚げ足を取られたり、逆ギレされたりします。滞納者は、そういう状況に持ち込もうとしているかもしれません。
管理費等の滞納者への措置を検討する場合に重要なことは、あたりまえですが滞納されている原因の把握です。最終的に収入が少なく、今後も返済できるような収入のあてがない場合には「売却」することを薦めることもやむを得ないことと覚悟する必要があります。

面倒な手続もありますし、場合によってはいやな思いをすることも覚悟すべきです。特に長期間・高額な滞納になってしまっている場合は、回収するためには、ほぼ確実に面倒な手続、いやな思いをします。一年交代制で務めている理事長や理事さんが任期中に処理をしたがらないのも無理からぬところがありますが、そんな時は、管理会社の担当者が役に立つかもしれません。
 
■■ 第15回 自主管理について

前回は、「管理費」の見直しについて考えました。今月は、「自主管理」をテーマにします。

マンションの管理形態は、大きく別けると「委託管理」と「自分たちで管理する(自主管理)」の二つに区分できます。「委託管理」とは、管理会社へ管理業務の一部または全部を委託する方式のことで、「自主管理」は管理組合運営を自分達で行っているマンションです。もちろん委託管理であっても各問題の決定にあたっては理事会・総会などの承認が必要となることは、変わりません。

実態として、自主管理マンションが全体の約1割弱で、築年数が多いマンション、比較的小規模なマンションに多く見られ、それ以外は管理会社による委託管理マンションとなります。費用負担の面からみていくと自主管理が費用的に負担が少なく、一部委託管理、全部委託管理となるに従って費用の負担が多くなります。

この自分達で管理しているマンションも、多くの場合、最初からそうだったわけではありません。マンションに入居して、何年か経過する中で、管理品質、業務対応、委託経費の多寡など、いろいろな疑問や不信・不満が出て、その解決策としてきちんと清掃させたい、滞納金を減らしたい、管理委託費を下げたいといった目標意識を持ち、自分達の手で運営を始めたわけです。

新築分譲マンションの場合、管理組合運営の骨格部分、特に管理費(初期設定額)や修繕積立金などの費用は、(分譲会社が)管理組合成立以前の段階、分譲募集の段階で企画立案し、管理会社も予定されています。第一回目の管理組合の定期総会で、管理組合役員(理事長や理事・監事)が選出され、同時にこの分譲会社が作成した当初の管理プランを承認するというのが通常の進行です。分譲された一室を購入した区分所有者・組合員は、この分譲会社が作った管理規約、管理費、管理会社(多くの場合分譲会社の子会社や系列会社等)との管理委託契約等を受け入れざるを得ないのです。ところが当初の分譲会社の作成した管理プランは当該建物の実態をキチンと反映していないことが多く、実際に居住している者から見たときに非常に不都合であるケースが多かれ少なかれ発生しています。さらに、管理会社の担当者・管理人の運営能力不足なども重なり不都合な項目が目につくようになります。ここから、管理の形態や管理費用の見直しを図ろうという機運が生じるわけです。
もちろん、このような場合、管理費の見直しや管理会社の変更などで対応している場合が殆どですが、自分たちで運営していこうとする自主管理を選択するケースもあるわけです。
出納・会計・清掃・定期点検・修繕といった基幹事務を管理会社に頼ることなく自分たちで行う方法を採用した場合、委託管理に比べると自分たちの業務負担は多くなりますが、管理品質やコスト面について、自分たちの納得がいく形で運営することができます。特にコスト面では大きな差が出てくるメリットがあります。

一般的に自主管理をしているマンション管理組合の特徴は
・管理に対する居住者の意識が高く、管理組合内で活発な議論が展開される。
・管理業務について中心となって運営している熱心な役員が数人いる。
・管理コストを安く抑えることができ、当然徴収している管理費が安い。
ということがいえます。

しかし、「自主管理」による管理組合運営は全てが良い面ばかりではありません。以下のような問題点も抱えています。
1. 関心のある居住者がボランティア主体で役割を分担して対応していたが高齢化や賃貸住戸の増加で、役員のなり手が少なくなり、同じ役員が長く就任するなど特定の居住者に大きな負担がかかっている。
2.もともとマンション内にマンション管理に詳しい専門家がいないので、最近のように法律が複雑になり、更にマンションを取り巻く社会環境の急激な変化等の事態に適正に対応することが困難になっている。
3.運営をしている長年務めた役員と居住者との間の信頼関係が希薄となり意見の対立が多くなり、問題解決に時間がかかる。調整役がいない。等の問題も起こっています。

こうした問題を抱えた管理組合の中には自主管理をやめ再び管理会社の活用を検討したり、自主管理を継続するがマンション管理士を活用し、外部の意見を取り入れるなどの方式を検討したり、または一部委託管理を導入ることを検討しているところもあります。

費用負担を考えると、自主管理が最良の方式であるかのように思えますが、自主管理を継続して行える管理組合であるためには、単に費用の節減だけでなく、自分たちのマンションをよりレベルの高いものにしようという意思と管理組合の活動を支えるマンション管理に精通した事務局長のような存在が必要となり、さらに、この役員への負担軽減を図るため各役員が各々の場面で助力していくことが必要となるわけです。
 
■■ 第14回 管理費の見直しについて

 新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
さて、前回は、「修繕積立金」の見直し・値上げについて考えました。今月は「管理費」の見直しをテーマにします。

マンションの居住者や理事などの役員をしている皆様と話しをしていますと、「管理費が高い」という話がよく出ます。その場合の「管理費」は、先月テーマにした修繕積立金+管理費を指していることがほとんどです。前回までに修繕積立金と管理費の区分けは明確にということを勉強してきました。今月のテーマで取り上げる「管理費」は修繕積立金を除外したもの、いわゆる一般管理費を指します。

マンション標準管理規約から「管理費」という用語の定義を確認しますと、標準管理規約(単棟型)では、第27条で次のように規定しています。
(管理費)
第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
 一 管理員人件費
 二 公租公課
 三 共用設備の保守維持費及び運転費
 四 備品費、通信費その他の事務費
 五 共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
 六 経常的な補修費
 七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
 八 委託業務費
 九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
 十 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
 十一 管理組合の運営に要する費用
 十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用

 上記27条に各項目が具体的に記載されています。修繕積立金と違い、毎年計上される項目が並んでいます。管理会社による総合管理を受けているマンションでは、そのほとんどの項目が、管理会社に委託されている項目で、毎月管理会社に支払われている金額ということになります。

 それでは、その管理費は妥当な金額で設定されているのでしょうか。
委託を受けている管理会社はどのような管理会社が多いのでしょうか。
マンションの管理会社は、通常は新築分譲時、親会社又はとても関係の深いディベロッパーによって自動的に決定されているのがほとんどです。そのため、競争原理が働かず、管理委託費が決定されているケースがほとんどです。管理サービスの内容が金額に見合ったものであるのか否かを確認し、不必要な支出を削減したいものです。
そのためには、サービスの質を左右する仕様書の確認・見直しを行い妥当か否か判断しなければなりません。例えば、清掃は毎週火曜日5時間ポリッシャー及びモップにてエントランスホール及び開放廊下・階段を清掃する、Tヶ月50,000円。という項目があれば一般的な清掃に係わる人件費と比べ高いか低いかを調べ、それに手配をした管理会社の諸経費を加算した場合、納得できるものであるか否か判断するわけです。同じように、建物点検に要する費用、電気機器類の点検に要する費用、管理人の人件費というように項目をひとつづつとりあげ、その妥当性を調べていくことになります。管理組合の役員になった有志の方が、一人で又は数人で手分けしてそのような計算・調査をしていくわけですが、その時間がない、相場を調べていくことも素人では難しい、手間であるということで、マンション管理士に見直しを依頼したり、他の管理会社から見積をとることにより比べるということで判断をしているケースがほとんどです。
その結果、管理費が下がった例は、非常に多く、なかには、分譲後最初に結成された管理組合役員が、管理費の見直しをかけ半年後に委託金額を2〜3割程度下げることに成功したということも実際に起こっています。
複数の管理会社から見積もりを徴収することで価格競争が導入されるからです。また、管理項目をひとつづつ見直すことにより過分なサービス提供を排除し、節約することもできます。
また、同じマンション管理会社でも、管理人・フロント(管理会社の担当者)の能力、管理組合の力の入れ具合(選出された役員の熱意)に応じて管理サービスのレベルが違ってきてしまうのが現状です。管理会社を変更することなく、管理費を下げたり、管理人・担当者の変更をすることにより同じ管理費で管理サービスの質を向上させることもできます。さらに、管理会社を変更することも特別なことではありません。むしろ、居住者のニーズとコストに見合った管理会社を選びたい、というのは当然の要求です。
 定期総会の資料等がお手元に来ましたら、管理費の明細に目を通し、改善・減額の余地がないか、他の管理会社はいくらでやっているのか、ご自分で又はマンション管理士などを活用して調べてみることをお薦めします。
このような項目をひとつづつ見直すことにより、管理会社を変更しなくてもかなりのコストダウンを図る事が期待できます。
削減された金額を修繕積立金にシフトすることにより、区分所有者の負担を増やすことなく修繕積立金を増額するなどバランスを整える事ができるというメリットが発生します。
 
■■ 第13回 修繕積立金の見直しについて 

 前回は、「修繕積立金」と「管理費」の区分の重要性について確認しました。今月は「修繕積立金」の見直しについて考えていきます。

以下のような相談はほとんど毎月入ってきます。
「築10年目の60世帯7階建の分譲マンションに住んでいます。先だって定期総会の議案書に修繕積立金の値上げについて記述がありました。長期修繕積立金が将来不足する事が判明したので,値上げをしたいとの事。
 問題なのはその金額が来年5,000円、さらに3年後に10,000円値上げし、従来からの積立金4,000円からみて、非常に大幅な値上げとなっていること、3年後には19,000となり約4倍以上の値上げとなることです。」
これだけの値上げとなれば、毎月の管理費や住宅ローン・修繕積立金を計算してやっとマンションを購入した区分所有者が憤慨するのも理解できます。多少の値上げは覚悟していると思いますが、この上げ幅であると資金計画が狂ってくるものです。
詳しい話を聞かないとその金額の根拠は分からないのですが、マンションの規模・駐車場収入の有無やマンション独自の特殊事情などの要素も考えなければなりませんが、一般論でみた場合は、今までの修繕積立金の設定が低すぎて、将来の修繕工事費を賄えないことがハッキリしたため、理事会が値上げを提案したと考えられます。平成10年から20年にかけてのマンションの修繕積立金の平均は、一戸当たり月額11,000〜12,000円という数字が出ております。
マンションの分譲会社は顧客の毎月の支出が少ないほど売りやすいという事情があり、修繕積立金を安い金額で設定しがちです。したがって分譲後管理組合を結成したら早い段階で修繕積立金が適正であるか否か検討を加えておくことが必要です。
修繕積立金が適正であるか否かは、「長期修繕計画表」をキッチリ作成していくことによって判断することができます。
購入時に、分譲会社から「長期修繕計画表」が作成され、皆さんの手元にわたされているはずです。これにより今後20年、30年後までに、どのような修理が必要で、費用がいくら掛かるかが記載されています。一戸あたり一か月に必要な修繕積立金も算出されています。それを現在の修繕積立金と比較すると、必要な値上げ額が出てきます。それにより値上げ額を決定していくことになります。  
 しかし、この表は分譲会社が作成したものであり、上記のような事情から安く設定されている可能性があります。この表は一般人が作成しようとしても専門知識がないとできません。作成や見直しにあたっては、マンションの改修工事に慣れている管理会社、一級建築士事務所又はマンション管理士に依頼して作成することをお薦めします。また、一度作成しても、技術的な変化、物価の値上げ等があり5年程度のサイクルでの定期的な見直しをすることにより、常に最新の状態にしておきたいものです。
値上げのほかに、一時負担金の徴収や借入れの方法もありますが、高齢化社会に入った現在、年金生活をしている老齢者には一時負担金徴収は賛同を得られにくく、また、借入れは、いずれ返済をしなければいけませんから、一時的な資金不足対策として利用するだけで、根本的な解決にはなりません。  
なお、実務的には、区分所有者の負担軽減を図るため、管理委託料等のいわゆる管理費が、当初高めに設定されていることが多いため、管理会社との交渉又は管理会社の変更を行うことにより、管理費を下げ、その分を修繕積立金に廻すことにより上げ幅を圧縮するなどの方法がとられています。
また、長期修繕計画表は作成者にもよりますが、安全を考え価格が高め設定されやすいということも記憶しておいて下さい。将来の工事費を設定するにあたって、今現在のギリギリの単価で計算をすることは不適切なためです。将来のある程度の変動リスクにも耐えられるような設定が望まれます。
最後に修繕積立金の変更は、管理規約の内容により普通決議又は特別決議となります。
最初に、あなたのマンションの「管理規約」を確認してください。
「修繕積立金の改定」が「規約の変更」にあたるのであれば、「特別決議」事項となりますので、その場合は必ず「区分所有者(組合員)およびその議決権の各四分の三以上の多数による決議」が必要です。
「修繕積立金の改定」が「規約の変更」にあたらないのであれば、「普通決議」事項となりますので、「区分所有者(組合員)およびその議決権の各過半数による決議」が必要です。

参考 マンション標準管理規約(単棟型)第28条
(修繕積立金)
第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
 一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
 二 不測の事故その他の特別の事由により必要となる修繕
 三 敷地及び共用部分等の変更
 四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
 五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)
又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下 本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション 建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。
 
■■ 第12回 修繕積立金と管理費の区分けの必要性について 

前回は、将来発生するであろう維持管理費、修繕改良費という観点からマンションの購入を考えました。今月は「修繕積立金」と「管理費」を明確に区分する必要性について考えていきます。

最初にマンション標準管理規約から用語の定義を確認したいと思います。マンション標準管理規約(単棟型)では、第25条以下で次のように規定しています。

(管理費等)
第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
 一 管理費
 二 修繕積立金
2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。
(管理費)
第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
 一 管理員人件費
 二 公租公課
 三 共用設備の保守維持費及び運転費
 四 備品費、通信費その他の事務費
 五 共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
 六 経常的な補修費
 七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
 八 委託業務費
 九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
 十 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
 十一 管理組合の運営に要する費用
 十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用
(修繕積立金)

第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
 一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
 二 不測の事故その他の特別の事由により必要となる修繕
 三 敷地及び共用部分等の変更
 四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
 五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)
又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下 本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。

上記のように規定されており、管理費は管理人の給与、建物廊下の清掃費、電気水道などの光熱費、植栽の剪定費、管理会社への委託費などをさし、修繕積立金は計画修繕(大規模修繕工事や中規模修繕工事)を行うために毎月積み立てていくものです。
見方を変えれば、管理費は毎年の日常的な管理に要する費用として予算が組まれ、それにより徴収額が決められますが、修繕積立金は単年度で予算で決めることはできません。長期的な計画修繕額によりその金額が決まってくるものです。
したがって、管理費と修繕積立金はそれぞれ独立したものとして区分けし、その金額を各々決定し管理していくことが重要です。
ところが実際には、このような性格の異なる二つのものを同一会計で行っていたり、管理費の30%を修繕積立金としていたり、全ての修繕工事及び植栽剪定費用を積立金で賄うというケースがみられます。設備点検の費用なども修繕積立金で処理したりしている管理組合もあります。上記の規約の趣旨から見れば非常に問題が残ります。
原因は、管理組合の役員及び区分所有者の理解不足や管理費の徴収金額不足が原因で、管理費で不足するために、修繕積立金で賄っているケースが多々あります。これを長年続けますと、外壁改修工事や給水管更新工事などの際に修繕積立金不足が発生し、一時徴収や修繕積立金の大幅な値上げを余儀なくされ、総会などが紛糾する大きな原因となります。

これを防ぐためには
・修繕積立金で賄う修繕工事の範囲を明確にしておくこと
・単年度会計予算で処理できる管理費の適正な金額を徴収すること
・長期修繕計画表などを定期的に見直し適正な修繕積立金をストックいておくこと
以上の三点が重要となります。

標準管理規約の定義を参考に管理費・修繕費の区分を明確にしましょう。管理費は、一年間に日常的に発生している費用の合計なのでその金額をつかむことは比較的容易です。その金額に不足が生じないように管理費を徴収するだけです。
長期修繕計画費は、将来の10年20年先を見越したプランを設定するため、積算した人の考え方、採用した工法の違いなどにより大きく違うケースがあります。また、物価の変動要素もあります。改修工事の技術的な進歩による費用の軽減なども考えられ定期的な見直しが望まれるところです。
 
■■ 第11回 将来の修繕という観点から見たマンション購入の問題点について 

 前回までは、管理費や修繕積立金の「持ち逃げ」や「使い込み」の実態について具体的事例をみてきました。今月は将来必ず修繕・改修工事がつきまとうマンションという建物の購入の問題を考えてみたいと思います。将来発生するであろう維持管理費・改善改良費の中から、特に修繕費という観点からマンション購入の問題を考えます。

最近のマンションは居住者のさまざまな住まい方に対応できるように各種プランを揃え、また、室内の設備についても各種ニーズを取り込めるようになってきました。しかし、入居当初の生活も径年ととともに家族構成も変わり、使われ方も多様になり、さらにより快適さを求めるようになりました。そのような中、日常生活での故障や使い勝手の悪さ、さらには将来の維持・改善工事などを念頭においてマンションを購入することは、素人の購入者にとっては難しい問題です。
建物に使われている建築や設備の材料は見える部分と隠避されている部分があります。見えている部分は比較的分かりやすいのですが、素人がそれを判断することは大変です。まして隠避されている部位の設備配管の収まりやコンクリートの質は、まったく解らないというのが普通です。細かく説明を始めれば、一冊の本が出来上がっても足りません。ここでは重要な点だけを取り上げます。
特に重要な以下の事項を予備知識として知っておくことが、購入の際のヒントになると思います。

コンクリートの品質
 マンションの構造体の多くはコンクリート製です。一般にコンクリートの寿命は70〜100年などと言われております。建物を長持ちさせる上で重要なものはこのコンクリートの性能です。よく雨漏れの問題がありますが、これは多くの場合、防水工事の不良かコンクリートのひび割れに起因することが原因です。但し、できたてのコンクリートが良いか悪いかを見分けることは、素人にはまず不可能ですので、専門家の協力を得て吟味することをお薦めします。コンクリートは取り換えが不可能な部位であり、建物の骨格です。建物がある限り付き合わなければなりません。

設備配管や機器の取り換え易さ
 マンションには、給排水管・ポンプや電気配線・換気機器・都市ガス配管などがあり、それらは各々当然寿命があり、一定期間が経過すれば交換の必要が生じます。一般に配管の寿命は20年前後といわれておりますが、配管の取り換えが容易にできる設計になっているか否かを調べておきたいものです。(ここ10年内に新築されたマンションで使われているステンレス配管は、30〜40年といわれています。)
 メーターボックスの大きさや位置、屋内の横引き配管は二重床で配管経路は曲折の少ないことが修繕費軽減にプラスになります。モデルルームを一見しただけでは判断のつかないケースがほとんどです。竣工図書や設計図で確認する必要がありますので、やはり専門家の協力が必要です。

仕上げ材のメンテナンスの容易さ
 マンションの仕上げ材全般について、清掃しやすく清潔で見栄えのする材料で構成されていることが必要です。外壁のタイル貼りマンションは最近多く見かけられます。塗装仕上げのマンションに比べ新築時にはコスト高にはなりますが、外観上美しい、汚れが付きにくい、汚れが付着した場合にも清掃がしやすいという利点があります。
 
 以上3点を知っておいて下さい。最後に、最近流行の高層マンションは眺めがよく人気があります。改修工事という観点から見た場合には非常にコスト高となるということを指摘させていただきます。足場を組むにも枠組み足場だけで処理ができない。高層階では風圧が強く塗料が塗った先から飛散するなどの問題があります。
 
将来の改修工事という観点から見たマンション選びでは、当然メンテナンス費用が安く済み、トータルコストを抑えるということが余裕資金を生み、将来の住環境を良くすることにつながるものと考えています。かたちあるものは必ず滅びます。なるべく長持ちさせて快適な住まいを得るには、普段からの「手入れ・・・清掃・点検・修繕・改良」が不可欠です。
 
■■ 第10回 修繕積立金の「持ち逃げ」や「使い込み」の問題について その2

マンション管理士の森です。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策をみつけていきたいと思います。

 前回は、管理費や修繕積立金の「持ち逃げ」や「使い込み」の実態について具体的事例をみてきました。過去の事例をみると大きく2つのパターンに分けることができます。
ひとつは理事長や会計担当職にある者(通帳や印鑑を所持している者)いわゆる管理組合内部の問題として発生した「使い込み」、もうひとつは管理会社(管理会社自体の組織的犯行か担当者による犯行)による管理組合外部の委託先の問題として発生した「使い込み」に分けることができます。
検挙された事例として、沖縄県では昨年3月、マンション分譲大手の系列管理会社社員が2000年〜2008年までの8年間に、担当する県内の19の管理組合で合計約8000万円を横領していたことが明らかになりました。長崎市では昨年7月、市内にあるマンションの管理人が数年間にわたり約2億円を着服していたことが判明。さらに、静岡県では県内のマンションで会計担当をしていた理事が修繕積立金を横領したとして起訴され、今年5月、その初公判で横領金額が総額1億3690万円にのぼることがわかりました。
ある64戸の分譲マンションでは、理事長が持ち回りで担当していたのですが、1年前に窓口となった理事長が自分の手元にある通帳及び印鑑を利用して、勝手に120万円を使込んでいたことが発覚しました。この使い込まれた120万円を返還するよう、住人がマンション総会で求めているのですが、「近いうちに返済すると言い」、いっこうに返還されません。下手をすると逃げられる可能性も有り、どのような対処をすればよいか困って相談にきたという事例があります。この理事長は、自分の遊興費に充てるため一時的に借用したが、決算期までには口座に返金しておくつもりであったため堂々と払い出しを行っておりました。
一般的には、架空書類を作成したり残高証明書を偽造するなどの手口を使って犯行をごまかすケースが圧倒的に多いのですが、上記のケースでは堂々としております。だます方が悪いのか、それともだまされる方が悪いのか――。元をただせば、一体誰が管理費や修繕積立金(以下「管理費等」)を管理しなければならないのか、意識が足りないことに問題があるように思われます。

予防策としては
預金を勝手に引き出せないような仕組み作りが重要です。
こうした管理費等の横領事件は、例をあげれば際限なく続いています。管理をしていたはずの会計担当理事や他の役員はどの程度責任を感じていたでしょうか。「自分たちのもの」「自ら管理しなければ他の人はチェックしない」という意識と日常的な監視の眼が張り巡らされていれば、こうした事件は起こらなかったように思います。
 管理費等が横領あるいは着服されるのは、簡単に口座のお金が引き出せることによります。つまり、自由に引き出せないようにすれば、大方は解決したことになる。通帳の名義を管理組合名義となっているかチェックして頂きたい。同時に、通帳と印鑑の取り扱いにも十分な配慮が必要です。せっかく管理組合名義になっていても、心ない組合員に両方を預けてしまうと、勝手に引き出されてしまう危険があるからです。たとえば印鑑は理事長、通帳は会計担当理事がそれぞれ管理するといったように、1人に権限を集中させず、分散させる体制を敷くことが重要です。さらに払い出し票の数字の記載にあたっても変更が加えられないように記載し、大きな金額の場合は必ず2名以上にて払い出し・振り込みに行くことが不祥事防止に有効です。

多発するトラブルを受けて昨年5月、国土交通省が「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則」の一部を改正した。これは、主として管理会社担当者による流用等の不祥事の再発防止に狙いをつけています。 骨子は
(1)管理組合財産の分別管理につき、3種類の方法を定める
(2)保証契約の締結の厳格化
(3)管理会社による印鑑等の管理の原則禁止
(4)会計の収支状況に関する書面交付の義務化
をあげています。
【参考 マンション管理の適正化の推進に関する法律施行規則】
(財産の分別管理)
第八十七条
 法第七十六条の国土交通省令で定める財産は、管理組合又はマンションの区分所有者等から受領した管理費用に充当する金銭又は有価証券とする。
2 法第七十六条に規定する国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。  
一 修繕積立金等が金銭である場合次のいずれかの方法
イ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
ロ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金(金銭に限る。以下この条において同じ。)を保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産(金銭に限る。以下この条において同じ。)を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
ハ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法
ニ 修繕積立金等が有価証券である場合  金融機関又は証券会社に、当該有価証券(以下この号において「受託有価証券」という。)の保管場所を自己の固有財産及び他の管理組合の財産である有価証券の保管場所と明確に区分させ、かつ、当該受託有価証券が受託契約を締結した管理組合の有価証券であることを判別できる状態で管理させる方法
3 マンション管理業者は、前項第一号イ又はロに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければならない。ただし、次のいずれにも該当する場合は、この限りでない。
一 修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産がマンションの区分所有者等からマンション管理業者が受託契約を締結した管理組合若しくはその管理者等(以下この条において「管理組合等」という。)を名義人とする収納口座に直接預入される場合又はマンション管理業者若しくはマンション管理業者から委託を受けた者がマンションの区分所有者等から修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産を徴収しない場合
二 マンション管理業者が、管理組合等を名義人とする収納口座に係る当該管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理しない場合
4 マンション管理業者は、第二項第一号イからハまでに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならない。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は、この限りでない。
5 マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月(以下この項において「対象月」という。)における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければならない。この場合において、当該管理組合に管理者等が置かれていないときは、当該書面の交付に代えて、対象月の属する当該管理組合の事業年度の終了の日から二月を経過する日までの間、当該書面をその事務所ごとに備え置き、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の求めに応じ、当該マンション管理業者の業務時間内において、これを閲覧させなければならない。 
  6 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 
   一 収納口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭又は第一項に規定する財産を預入し、一時的に預貯金として管理するための口座をいう。
二 保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金を預入し、又は修繕積立金等金銭若しくは第一項に規定する財産の残額(第二項第一号イ若しくはロに規定するものをいう。)を収納口座から移し換え、これらを預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。
三 収納・保管口座 マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を預入し、預貯金として管理するための口座であって、管理組合等を名義人とするものをいう。

(管理事務の報告)
第八十八条
 マンション管理業者は、法第七十七条第一項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない。
一 報告の対象となる期間
二 管理組合の会計の収入及び支出の状況
三 前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項

最後に管理費等を横領されないためのチェックポイント
□管理費等の収納口座が管理組合の名義になっているか?
□通帳・印鑑・キャッシュカードが分散管理されているか?
□特定の組合員が長期にわたって管理していないか?
□会計担当理事や監事による出納のチェック体制が整えられているか?
□会計報告が定期的になされているか?
 
■■ 第9回 修繕積立金の「持ち逃げ」や「使い込み」の問題について

マンション管理士の森です。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策をみつけていきたいと思います。

前回は、「ペットの飼育問題」について考えてみました。今月は、管理費や修繕積立金の「持ち逃げ」や「使い込み」の実態について考えてみましょう。

このテーマをご覧になられた皆様の過半数以上の方は「自分のマンションは大丈夫」と思ってはいませんか?ついつい自分の住んでいるマンションについては甘く考えがちです。
管理会社の担当者任せか、理事長や会計担当理事任せ(特に長年同じ人が就任しているケースや自主管理の場合に多い)でチェックする人がいない、という会計監査・理事会が機能していない場合、あるいは油断が生じたときに発生しているケースがみられます。

以下に実際に発生したケースを取り上げます。
1.同じ理事長が5年以上就任し、修繕積立金の預金通帳・印鑑を保持していたのを利用し、自分の株式投資に積立金を長年流用していたということがありました。年に一度の決算総会には計算上の積立金残高と合うように直前に通帳に金を補充し、残高証明書を提出していたやり口です。残高証明書の金額は合っていますから、毎年不正の事実は分からず、結局株投資が破綻し、返済できなくなり、理事長が夜逃げしたときに気がついたというケースです。
2.大規模修繕工事が終了した際に、5000万円ある工事代金を振り込むために、理事長が、預金通帳及び押印・金額が記載された銀行の払い出し票を長年務めていたマンション管理人に預け振り込みを依頼したところ、管理人は払い出しのみ行い、振り込まずにドロンしたケース。
3.大規模修繕工事をする際に、今までの修繕積立金残高では不足するため、各戸より平均50万円程度の一時金を徴収することとしたが、その徴収事務を管理会社担当者に任せたところ、約1000万円程度の使い込みをされたケース。

1は、毎年の決算期に、残高証明書以外に預金通帳のコピーを取るなどして、金銭の流れをチェックしていれば防げたケースです。あるいは、マンネリ防止のため数年務めたら理事長の交代をするなどの予防措置をとっていたら防げました。

2は、大金を引き出す場合に役員数人で銀行に行くなどの配慮があれば、問題は防げたはずです。

3は、徴収事務は管理会社の担当者に任せたとしても、通帳は理事長や会計担当理事が常時保持し、管理していれば防げた事案です。実際には、振り込み以外に管理会社担当者への現金での払い込みを認めていたため、被害額の最終的な把握が遅くなったということがあります。

これら以外にも、管理会社にすべてお任せで修繕積立金通帳も印鑑も預けていたケースで、管理会社が組織的に流用していた事案も発生しております。

具体的な防止対策としては、
・ 6か月に一度会計監査を行う
・ 預金通帳と印鑑を別人の保管として相互チェックを図る
・ 払い出し・振り込み時のルールを定めておく
・ マンション管理士を有料監査人として活用する
などがあります。

しかし、もっとも重要なのは、区分所有者全員で「常に監視の目を光らせていること」です。同じマンションの住民だから、長年務めた管理人だから、ずっとやってくれた理事長サンだから、という何の疑いもかけない状態が最も危険な状態を招くことになります。

以下国土交通省の標準管理規約(単棟型)から修繕積立金の管理関連の参考条文
(修繕積立金)
第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
一、 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二、 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三、 敷地及び共用部分等の変更
四、 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
五、 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。
(理事)
第40条 理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する。
2 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う。
 (監事)
第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。
(議決事項)
第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
一、  収支決算及び事業報告
二、  収支予算及び事業計画
三、  管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
四、  規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
五、  長期修繕計画の作成又は変更
六、  第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入及び修繕積立金の取崩し
七、  第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
八、  修繕積立金の保管及び運用方法
九、  第21条第2項に定める管理の実施
十、  区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
十一、 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
十二、 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
十三、 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
十四、 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十五、 その他管理組合の業務に関する重要事項
 
■■ 第8回 ペット問題について2

マンション管理士の森です。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策を見つけていきたいと思います。

前回は、「ペットの飼育問題」について考えてみました。今月もこの問題について考えてみましょう。

今年の5月13日に、東京地裁立川支部は、野良猫に対する餌やりの禁止と慰謝料など計約200万円の支払いを命じた判決を出しました。
これは、東京都三鷹市の集合住宅で将棋の加藤一二三・九段(70)が野良猫に餌をやり、ふん尿などで迷惑しているとして、住民らが起こした訴訟の判決です。

市川正巳裁判長は判決理由で「餌やりが動物愛護の精神に基づくことは理解できるが、被害が続いており、住民の受忍限度を超えている」と指摘した。
判決などによると、加藤さんは1993年ごろから野良猫に餌をやり始め、一時は十数匹に。ふん尿で異臭がしたり、駐車場の車が傷つけられたりした。

住宅の管理規約には迷惑行為を禁止する条項があり、住民側は2002年ごろから加藤さんに警告していたが、受け入れられなかった。調停も不調に終わり、2008年に提訴した。

裁判で住民側は「野良猫をペットとして飼っていた」と主張したが、加藤さん側は、動物愛護の観点から野良猫増加の防止が目的だと反論していた。

加藤一二三さんの話 
「天寿をまっとうさせてやりたいと猫を大事にしてきたのに、理解に苦しむ判決だ。判決が出たからといってわたしの信念や行動は変わらない。控訴に向けて弁護士と話し合いたい。」
としていたが、その後控訴しない方針を明らかにした。
「判決を熟読すると、猫の命を尊重する行動は相当認められており、大きな不満はない」と話している。

ペットの飼育あるいは野良猫・犬をペットのように飼育することについては非常に多くのパターンがあり、紛争のタネとなっていることが窺われます。

この問題を整理してみますと

ペット飼育にともなう問題点のあれこれ
ペット飼育によるトラブルは、戸建て住宅、マンションにかかわらずよく聞かれます。特にマンションは住戸が隣接していたり、エントランスホールやエレベーターなど密閉された空間が多いため、鳴き声や抜け毛、臭いなどの影響が出やすい構造になっています。
つまりマンションでは、ペット飼育は単にお部屋の中だけの問題にとどまらず、共用部分へも被害が波及する可能性が非常に高いのです。

具体的には、まず鳴き声による騒音、糞や尿による臭気、咬傷等の事故など、他の居住者におよぼす迷惑や被害が挙げられます。共用部分の汚れや損傷、ペットに寄生する害虫や病気の感染等も無視できません。

こうした理由から、使用細則に「他の居住者に危害・鳴き声・悪臭等の影響を及ぼす恐れのある動物の飼育禁止」などと定め、「原則として飼育禁止」としているマンションが多いと思われます。実際のところ、迷惑は人によって感じ方が違い、その基準は曖昧ですから、こうした使用細則では具体的にどんな迷惑を及ぼしているかが明確でなければ、ペット飼育が規約に違反しているというだけで飼育禁止とか損害賠償ということにはならないのです。

トラブル解決に向けて
ペット飼育に関するトラブルを解決するには、まず管理組合の立場をはっきりさせることが必要です。考え方としては、
(1)「全面禁止」、
(2)現状飼育されているペットについては認め、新しいペット飼育を禁止する、いわゆる
「一代限りの飼育許可」、
(3)管理規約・飼育細則等で一定のルールを定めて、その範囲内の飼育を認める「条件付許可」
の3パターンに集約されると考えていいでしょう。

ペット問題は、マンションのトラブルの中でも人間の情がからむため、規約で一律に解決することが難しい問題です。したがって、いずれの方法を選ぶかは、個々のマンションの構造や環境、居住者の意見に応じて決めることが大切です。

なお、実際に作成された「ペット飼育細則」の例を見てみると、
(1) 飼育できるペットの範囲
(2) 飼育の申請
(3) 申請の添付書類の提出
(4) 飼育ペットの明示
(5) 遵守事項
(6) 違反に対する措置等
を規定しているものが多いようです。

自主規制する「ペット飼育委員会」の有効性
参考までに、マンションでペットを飼育する人達全員により「ペット飼育委員会」という組織をつくった管理組合の例をご紹介します。
このペット委員会の目的は、一言でいえば、飼育者組織が一体となってペットを飼っていない人に迷惑をかけないよう努力すること、またペットを飼う人と飼わない人との円滑な関係を目指しています。

さらに、管理組合との関係も次のように明確化してあります。
・ 管理組合とは別組織にし、理事長とペット飼育委員会長は兼任できないこと。
・ ペットに関する苦情は理事長からペット委員会に報告し、ペット委員会で改善策まで含めて審議し、結果は理事会に報告すること。
・ 改善されない場合は、理事長が飼育禁止をいいわたすことができることなど。

ペット飼育にかかわるトラブルを見ると、飼い主がしつけや配慮を怠ったために問題が起きたのではないかと思われるものも少なくありません。その意味で、このような飼育者組織を結成し、飼い方の自主規制を行っていくのも有効な方法といえるでしょう。
 
■■ 第7回 ペット問題について1

マンション管理士の森です。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策を見つけていきたいと思います。

今月は、ほとんどのマンションで大なり小なり悩みの種となっている「ペットの飼育問題」について考えてみましょう。
ペットの飼育については、区分所有法は次のように記載しております。
(規約事項)
第30条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
各マンションの実態に合わせて規約で定めなさいとうたっているだけです。

次に標準管理規約の関連条文をみますと以下のとおりです。
(規約及び総会の決議の遵守義務)
第3条 区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会の決議を誠実に遵守しなければならない。
2 区分所有者は、同居する者に対してこの規約及び総会の決議を遵守させなければならない。

(専有部分の用途)
第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
(使用細則)
第18条 対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。
この第18条に動物の飼育等の細則については使用細則で定めることが考えられる事項として取り上げられています。犬猫等のペットの飼育の可否などの基本的事項については管理規約で定めるべき事項となっております。が、その手続き方法又は具体的な飼育の方法や飼育に関する共用部分の利用方法、糞尿の処理他、詳細については、この「使用細則」に委ねることができます。

実態は、規約によりペットの飼育を容認しているマンションもあれば、逆に禁止している例も見受けられます。禁止している場合でも金魚や小鳥の飼育を想定して「小動物は可」としているものが多数あります。

今問題となっているマンションの多くは、規約で禁止としていてもその規約が守られていない、あるいは規約に原則として禁止、但し「小動物は可」とか「他人に危害を加える動物禁止」しているため、その「小動物」「危害を加える動物」の解釈により事実上長期にわたっての飼育が見逃されてきたケースで紛争が起こっています。<

小動物とはどの程度の大きさを指すのか、他人に危害を加える動物に犬・猫が含まれるのか、人により判断が分かれるような「あいまい規定」で記載されていることから、それを管理すべき理事長・理事会役員の中でも論争のタネとなり、今となって禁止とも言いにくくなり、そのまま放置されているケースです。

将来のトラブルを防ぐため、ペットの種類・大きさ・飼い方などについて明確な細則を作っておきたいところです。

既にトラブルが発生しているマンションでは、明確な規約・細則を制定し、「現在飼育しているペット一代限り許可する」という、ひとつの妥協案を提示し解決を図っているケースがみられます。
 
■■ 第6回 理事の人数・任期について
マンション管理士の森です。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策を見つけていきたいと思います。
過去2回にわたり「理事の選任問題」を、先月は「理事長職の権利・義務」について考えてみました。今月は「選任する理事の人数・任期」について考えてみましょう。
今回は解答を先にだします。管理組合の理事の人数や任期は、管理規約に記載された人数・任期による、ということになります。
まず、区分所有法のなかでその手がかりを探しますと、人数・任期について区分所有法は何もふれていません。具体的な人数・任期については管理規約により定めるところによります。管理規約自体は管理組合の総会の決議(特別決議 区分所有者及び議決権総数の4分の3)によって規約は設定・変更ができます。
したがって、戸数が50戸あるマンションの管理組合で、現在の理事の人数が4名のままでいいかどうか、この人数を増やすべきかどうか、あるいは逆に減らしてもいいかどうかといった問題は、すべてあなたの管理組合自身の考え方で決まることになります。
区分所有法は、分譲マンションそのものが多種多様の人で構成されている以上、それぞれの分譲マンションの管理組合もまた多種多様にならざるを得ないわけで、そうした様々に異なるマンションの管理組合の実情をふまえると、法律で規制せず、規約により自主的に制定するものとしています。
なお、多くのマンションでモデルとしている国土交通省の「標準管理規約」をみますと、第35条と第36条に役員の人数と任期について定めています。
[第35条関係]
理事の員数については次のとおりとする。
1 おおむね10〜15戸につき1名選出するものとする。
2 員数の範囲は、最低3名程度、最高20名程度とし、○〜○名という枠により定めることもできる。
[第36条関係]
1. 役員の任期については、組合の実情に応じて1〜2年で設定することとし、選任に当っては、その就任日及び任期の期限を明確にする。
2. 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合には、役員の任期は2年とする。
この標準管理規約は、あくまでも一つの考え方を示す目安であって、実際にどういうふうに決めるかは、それぞれの管理組合の判断に任されているという点です。ここで掲載しましたのは単棟型標準管理規約の場合ですが、ほぼ同じ内容の条文が、団地型標準管理規約では第37条に、また複合用途型標準管理規約では第39条にあります。
任期については、1年としている管理組合が過半数を占めているが現状ですが、管理業務の継続性を考えますと、標準管理規約のように2年任期で毎年半数を改選するという方が望ましい姿であり、採用している管理組合も徐々に増加しております。
 
■■ 第5回 理事長職の権利・義務について
マンション管理士の森です。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ、解決策を見つけていきたいと思います。

 前2回にわたり「理事の選任問題」をとりあげました。今月は理事長職の権利・義務について考えてみたいと思います。
理事長は、どのような義務があり、どのような権利があるのかを正確に把握しておくことが、管理組合運営に欠かせない問題となります。
理事長は管理組合を代表する者であり、規約において区分所有法(以下「法」と呼ぶ)上の「管理者」とする旨定めているのが通常です。したがって、理事長は区分所有法第1章第4節「管理者」の規定の適用を受けることになります。
区分所有法上の管理者の権利・義務を列記しますと以下のとおりです。

主な職務上の義務として
1.集会において毎年1回一定時期に、その事務に関する報告をしなければなりません。(法第43>条)
2.規約、議事録、書面決議の書面を保管し、利害関係人から請求があった場合は閲覧させなければなりません(法第33>条第1項、第2項、第42条第3項、第<45条第2項)
3.管理者は民法の委任の規定により、その事務を処理するにつき善良な管理者の注意義務を負い、その義務を怠って区分所有者に損害を与えたときは、これを賠償する責任を負うほか、事務の処理に当たって受け取った金銭その他の物を区分所有者に引き渡す義務等を負います。
主な職務上の権限として
1.共用部分、敷地、付属施設の保存行為を行う権限を有します。保存行為とは日常の軽微な修繕、施設の点検等共有財産の現状を維持するために必要な行為をいいます。
2.管理組合の集会の決議を実行し、規約で管理者の職務権限に属するとされている事項を実施しなければなりません。
3.損害保険契約に基づく保険金額並びに共有部分等について生じた損害賠償金、及び不当利得による変還金の請求および受領につき、区分所有者を代理する権限を有します。(法第26>条第2項)
4.規約または集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために裁判の原告または被告になることができます(法第26>条第4項)
5.集会の招集権を有します。なお少なくとも、毎年1回は集会を招集する義務があります。(法第34>条第1項、第2項)
6.規約に特別の定めがあるときは、管理者は共用部分を所有することができます(法第27>条)。
「管理組合の集会の決議を実行する」とありますが、やる気のない理事長が就任した場合、集会の決議を実行に移さないという、不作為でのトラブルがたまに報告されます。それにより損害が発生した場合には、正当な理由がない場合、賠償責任を負担するということになりますので注意が必要です。

【参照  区分所有法第1章第4節「管理者」の規定】
(選任及び解任)
第25条  区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。
(権限)
第26条  管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
 管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
(管理所有)
第27条  管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。
 第六条第二項及び第二十条の規定は、前項の場合に準用する。
(委任の規定の準用)
第28条  この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。
(区分所有者の責任等)
第29条  管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為につき、区分所有者がその責めに任ずべき割合は、第十四条に定める割合と同一の割合とする。ただし、規約で建物並びにその敷地及び附属施設の管理に要する経費につき、負担の割合が定められているときは、その割合による。
 前項の行為により第三者が区分所有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行うことができる。
 
■■ 第4回 理事の選任問題について その2
マンション管理士の森です。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策を見つけていきたいと思います。
前回は理事の選任問題をとりあげました、今月も引き続きこの選任問題について考えてみたいと思います。

「理事や理事長になりたがらない人が多く困っています」という相談事例の中で、「区分所有者と同居している家族の方も役員に含めたらどうか、顧問契約を結んでいるマンション管理士に役員になってもらってはどうか。」という意見が出てきました。役員になりたがらない人が多くなり、同居の親族や外部のマンション管理について知っている人を認めたらどうかという意見です。とくに世帯数の少ないマンションでこのケースがみられます。

区分所有者以外の方も役員に含めたほうが、管理組合の運営が円滑に行えると思われる場合があります。例えば、大規模修繕工事の実施及びその計画づくりなどは建築業界に明るい人を役員に当てたほうが経験・知識などの面からより効率的な支出ができるでしょう。また、防災管理にあたっても、それに精通した人を役員とする方がよりよい設備計画をつくることができるでしょう。

その場合、外部の者又は同居の区分所有者以外の者を役員とすることができるのか、が問題となります。
区分所有法は、理事長を含めて役員の資格については明確には規定していませんが、「管理規約」で「現に居住する組合員」と定めている管理組合が一般的です。したがって、選任にあたっては必ず総会の特別決議で規約を改正してから役員を選出するという手続きが必要となります。

なお、区分所有法は、管理組合の場合の管理者と(同法25条、66条)、法人管理組合の場合の理事及び監事について(同法49条、50条、66条)規定していますが、理事長を含めて役員の資格については明確には規定していません。これについていろいろな解釈があるようですが、本来、管理組合は、区分所有者だけで構成され、共用部分の維持・保全・管理を目的とする団体です(同法3条)。区分所有者の中から役員を選出することが原則となります。

 上記のような大規模修繕工事や防災面での問題があった場合には、専門家と顧問契約を結ぶ,又は別途専門委員会を組織しその一員となってもらうなどの方法がとられています。 

≪参考≫
区分所有法 
第三条  区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

第二十五条 > 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。

第四十九条  管理組合法人には、理事を置かなければならない。
理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
 理事は、管理組合法人を代表する
 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。
 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。
 理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行う。
 第二十五条の規定は、理事に準用する。
第五十条 > 管理組合法人には、監事を置かなければならない。
 監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。
 監事の職務は、次のとおりとする。
 管理組合法人の財産の状況を監査すること。
 理事の業務の執行の状況を監査すること。
 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること。
 前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること。
 第二十五条、第四十九条第六項及び第七項並びに前条の規定は、監事に準用する。
多くの管理組合で採用されているマンション標準管理規約(単棟型)
(組合員の資格)
第30条組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する。
(役員)
第35条管理組第35条管理組合に次の役員を置く。
一理事長
二副理事長○名
三会計担当理事○名
四理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五監事○名
2 理事及び監事は、○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。
 
 ■■ 第3回 理事の選任問題について その1
新年明けましておめでとうございます。マンション管理士の森です。宜しくお願いいたします。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策を見つけていきたいと思います。

新年度は相談事例の中から管理組合の悩みの種となっている問題を考えてみたいと思います。

「理事や理事長になりたがらない人が多く困っています」という相談事例が数多くあります。輪番制にしていたところ、理事候補として総会資料に名前を載せようとしたところ、本人が「聞いていない」又は「翌年にしてくれ」と拒否されるケースがよくあります。

マンションの役員選任方法として「輪番制」としている管理組合が圧倒的に多く、「立候補」や「推薦」としているケースは稀です。立候補や推薦で定足数を満たすことができれば問題ないのですが、多くの管理組合ではその場合でも輪番制を併用していることが多々あります。また上記のようなケースで順番を変更すると、1年早く役員候補となることから後々まで順番をめぐるトラブルが発生します。

その解決策としては、本人を説得するか、やる気のある人を候補者とする。というのが一般的です。そうした事態を防ぐ意味で、事前に翌年の役員候補となっていることをできる限り早く知らせ、了解を取り付けておくことが重要です。ある管理組合では、総会の席で2年後役員候補を発表しておく。あるいは10年程度の輪番制の表を作成し、各年度に候補者名を書き込み、総会の席で配布するなどの方法をとっているところもあります。また、拒否者が多く同じ人が何回も役員となるケースもあり、やる人・やらない人の不公平感を解決するために報酬を支払うという規定を設けている組合もあります。報酬は1回理事会に出席する度に「1,000円」とか、多いところでは「30,000円」というところもありました。また、月いくらと決めているケースもあります。報酬を決めている、又は慰労費として何らかの費用を決めている管理組合は、徐々に増加傾向にあります。

さらに、役員の選任問題を考える際に考慮しておきたいことは、その任期を何年にするかという問題です。圧倒的に多いのは1年で役員全員が総入れ替えというケースですが、この場合、前回の役員との引き継ぎおよび議事継続がうまく行われていないことが多々あります。これを防ぐ意味で任期を2年として半数を入替えるなどの方法を合わせて検討しておくことをお薦めします。

マンションの維持管理に責任を負うのが管理組合で、管理組合を運営しているのが理事長・理事会となっています。この理事会は「区分所有法」「管理規約」さらに細かな規定をもりこんだ「細則」に則ってマンションの維持管理を行うことに責任を負っています。マンションは専用部分と共用部分から構成されています。各住戸については所有者に権利がありますが、エレベーターや廊下・階段などはマンションの購入者全員で共有しています。どこまでが共用部分であるか、その維持管理のやり方や費用については、上記の区分所有法から細則までの規定に則り運営していくことになります。

なお、共用部分の範囲につきましては、前月・前前月のこのコーナーをご参照願います。
 
■■ 第2回 水溜まりの解決
マンション管理士の森です。宜しくお願いいたします。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策を見つけていきたいと思います。
今月も引き続き水関連の問題について考えてみたいと思います。

雨が降るとベランダや廊下に水が溜まることがよくあります。まして、玄関前に大きな水溜まりができたりベランダ内に大きな水溜まりができ、歩行に支障がある状態となり、何らかの処置をお願いしたところです。そのような状態を放置することは、マンションそのものの傷みも早まり財産価値を落とすことになります。また、水溜まりに足をとられ人身事故につながる危険があります。

廊下・階段は、共用部分にあたります。 ベランダは、どうでしょうか。専有部分ではなく共用部分です。同じ共用部分であっても、その部屋の使用者にいわば独占の使用権を認めた空間となっております。 したがって、このような水溜まりの解決にあたっては、その維持・保全・管理について責任のある管理組合に申し出て、その対策を図ることになります。

マンションのベランダや駐車場のように、敷地や共用部分でありながら、通常、特定の区分所有者だけが専ら使うことができて、その他の者は使うことができない部分を専用使用部分といい、専用使用部分を使う権利を専用使用権といいます。 専用使用部分の範囲は法律等で定められているわけではなく、個々のマンションによっても異なりますが、その例としては、駐車場、自転車置場、倉庫等があげられます。「専用使用権」「専用使用部分」という用語は区分所有法で使われていない用語であり、また、普段あまり耳慣れないような言葉でもあるので、国土交通省の標準管理規約(単棟型)ではそれらの用語について第2条で次のとおり定義しています。

第2条 この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
七 共用部分等 共用部分及び付属施設をいう。
八 専用使用権 敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利をいう。
九 専用使用部分 専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分をいう。

なお、水溜まりの対策にあたっては、水溜まり一ヶ所を解決するためにその部分だけをモルタルなどにより高くするなどの補修をした場合、他の箇所に水溜まりが新たに発生することが多く、廊下全体またはベランダ全体の勾配をどうとるか、排水枡の位置等を計算する必要があります。そのために、完全な対策のためには広い範囲での施工を余儀なくされ、それに伴う多額の補修費が必要となります。管理組合は、限られた修繕積立金から優先順位を決め予算執行していることから、水溜まりの程度を軽くする部分的な補修で対応していることが多いようです。
 

■■ 第1回 マンション漏水問題について
マンション管理士の森です。宜しくお願いいたします。このコーナーでは、マンションを取り巻くトラブル事例を中心に毎月テーマを1つとりあげ解決策を見つけていきたいと思います。
今月は漏水問題について考えてみたいと思います。>

先日の台風によりマンション住戸内で漏水事故が多数発生しました。一般的にマンションで漏水事故が発生し階下に被害があった時、その事故の責任はだれにあるかを決めるには、

事故原因は何か。
事故発生箇所は専有部分か共用部分か。
等によって判断することになります。
事故発生原因が上階の居住者による使用上の不注意であれば、責任の所在は明らかです。洗濯機に取り付けていたホースが緩み、そこから床面に溢れて下階に流れたなどの事例が過去にあります。
雨天の日が続いたときに漏水した場合は、外壁や屋上の防水性能、その他通気口からの侵水等を疑うことなりますが、晴天日が続いた場合に漏水が発生した場合は、上階からの使用上の不注意か、設備配管からの漏水を疑うことになります。
台風が来た当日から23日の間に漏水が初めて発生したのであれば、外壁・屋上・配管・通気口などを点検する必要があります。この外壁・屋上は一般的に共用部分と言われている箇所にあたりますので、管理組合に必要な調査を依頼し、補修工事と損害の賠償を求めることになります。
このような漏水事故等に対する備えとして、損害保険に加入しておくと非常に安心です。共用部分の事故には、漏水担保特約付きの施設賠償責任保険が、専有部分には個人賠償責任保険が適当でしょう。多くのマンション管理組合では、このような保険に加入しておりますので一度確かめておくといいでしょう。個人賠償保険も火災保険や傷害保険などに付帯特約としてつけられているケースが多いです。
なお、建物・設備の構造に原因がある場合、瑕疵担保責任期間(通常は引き渡し後2年)やアフターサービス期間を過ぎても、排水管のこう配不足、排水管の容量(径)不足、接続不良等が原因の場合は、施工業者または分譲業者に対して不法行為または債務不履行として損害賠償を請求することも可能です。
しかし原因が経年による自然損耗等の場合で、既にアフターサービス期間が過ぎてしまっている時は、発生箇所が専有部分か共用部分かによって、責任者が決定されることになります。
マンションの専有部分と共用部分の区分は、以下のとおりです。
共用部分とは、マンションなどの集合住宅において、区分所有者である居住者全員で共有している部分のことです。共用部分と呼ばれる場所は、いわゆる専有部分に属さないもの、つまり、玄関ホール、廊下、階段、エレベーター機械室、屋上、給排水設備、消防設備、電気配線、エレベーターなど。ふたつ目は、外壁などの構造上>共用に供される部分。つまり、独立区画の天井、壁、床などの部分。バルコニーは、専有部分と誤解する人が多いのですが、法律的には共用部分。共用部分の中の「専>用」として、特定の人に、利用する権利だけ、つまり専用使用権があるだけです。だからリフォームで手をくわえると、共有財産権を侵すことになる。以上のふたつ>が、法定共用部分と呼ばれる部分。そうして三つ目が、管理規約により、共用部分とすることができる部分。つまり、集会室、管理人室、管理事務室、倉庫などのことです。
専有部分とは、集合住宅において、区分所有者本人にだけ所有権がある住戸部分のこと。この部分については、間取りを変更したり、賃貸や売却・譲渡したりすることも区分所有者の自由です。但し、フローリングについては騒音などの問題があり規約により制約を加えていることが多いのでご注意願います。

なお、給排水管枝管(部屋内のもの)については、ここ20年前から最近の竣工したマンションでは、自室の床上コンクリートに設置されたものが多く、このタイプのものは、専有部分と解されておりますが、約30年前の公団型の団地にみられる床下コンクリートスラブと階下天井板との間の空間に設置された階上者専用の排水管の枝管は、「専有部分に属しない建物の付属物」にあたり、区分所有者全員の共用部分にあたるとし、同排水管からの漏水について、階上者の損害賠償責任を否定した最高裁の判決が平成12年3月に出されています。
 
 
 
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