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1.  借地借家法の適用

 

「スーパーマーケット内パン売場店舗の使用関係」

東京地裁平成8年7月15日判決 〔判例時報1596号81頁〕

 

■ スーパーマーケット内のパン売り場の利用について借地借家法の適用が肯定された事案

 

事案の概要

1)Xはスーパーマーケットを経営する会社である。

Yは、Xとの間で、唱和45年11月、「スーパーマーケット内においてパン類の製造販売業務を行う」ものとする契約〔本件契約〕を締結し、スーパーマーケット店舗内で、高級焼き立てパン販売の営業を行っている。

2)Yが営業を行っているのは、直接公道から出入りできる独自の入口を持つ独立した区画である。

3)Yの営業は、内装工事費の設備機材費等のすべてを自ら負担した上で、独自の経営判断と計算において行われており、Xは、売り場部分での営業には関与していなかった。

4)本件契約には、契約期間満了の3月前から1月前までが更新拒絶の申し入れ期間となっており、平成5年11月20日が契約満了日であったので、Xは、Yに対し、平成5年9月1日到達の書面をもって、更新拒絶の意思表示をした。

  これに対し、Yは、パン売り場の利用を目的とする本件契約は建物賃貸借契約であり、借家法の適用があるから、更新拒絶には正当事由が必要であるとして、契約の終了を争った。

5)裁判所は、パン売り場を利用する本件契約に借家法の適用があるとして、Yの主張を認めた。

 

裁判所の判断

1)            Yは、スーパーマーケットにおいて、X経営の店舗部分とは明瞭に区画されている売り場部分で、昭和45年から現在に至るまでの長年の間、場所を移動することもなく、内装工事費や設備機材費等すべて自己負担のうえ、独自の経営判断と計算において、自ら開発した焼きたてパンの製造販売技術を用いて、営業を行ってきたものである。

2)            他方、Xは、Yから一旦売上金金額の入金を受け、経理上は全額売上げとして計上した上で、売上金の一定割合の歩合金や諸費用を控除した残額をYへ支払う方式により、歩合金等を取得するものであるが、Xは、本件売り場部分での営業自体には関与していないばかりか、内装工事費や設備費用等すら負担することもなく、まさに本件売り場部分を提供することの対価として、保証金や歩合金を取得している。

3)            以上から判断すると、本件契約は、本件売り場部分の使用関係に関する限り賃貸借に関する法の適用を受けるべきものと解するのが相当であって、その使用関係の終了については、Yは借家法の規定による保護を受けるべきものというべきである。

4)            なお契約書には「この契約は特定商品の販売業務の委嘱に関するものであって特定の賃貸借契約でないからYは契約の終了にあたって損害金立ち退き料補償等如何なる名目を問わずYに対し金銭その他如何なる請求もすることはできない」と規定されている。

   しかしこれは、文言自体から明らかなように、契約終了の際にXから金銭的請求をすることができないことを確認することに主眼のある条項であるばかりか、借家法6条が強行規定であることを考えても、本件契約の実態に則して検討した右判断を左右するものではない。

 

 

以上

 
 
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