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岡田 文徳 氏 
大家のための資産承継コーディネーター
株式会社ディメーテル 代表取締役社長


第4回 家族信託®を知る。そして、どう使う?
第3回 まず、家族信託®という方法があることを知ろう!
第2回 これからの相続対策はここまで考えよう!
第1回 あなたの相続対策は間違いだらけ!?

■■ 第4回 家族信託®を知る。そして、どう使う?

第3回目では、認知症対策の方法の一つとして、家族信託®という方法があることを紹介しました。
今回は、家族信託®をさらに理解し、どう使うか?をお話していきます。

まず、信託とはどういう意味でしょうか?
信託とは、「財産を信頼する人に託す」ことです。実際には、「財産をお願いする側」と「任される側」との間では口頭で伝わりますが、第三者に対しては伝わりません。「財産をお願いした」、「任された」ことを示すものが必要です。つまり、契約書です。したがって、家族信託®は、「財産をお願いする側」と「任される側」との間で信託する契約を締結することです。

残念ですが、実際に契約書が存在しても、こういうことを言う人がいます。「任される側」が強引に「財産をお願いする側」に対して、契約書を作成することを迫ったのでは?という良からぬ疑いを受けるかもしれません。この場合に備えて、宣誓認証を行うことが多いです。宣誓認証とは、公証人の前で文書の内容が真実ですと本人が宣誓した上で、文書に署名押印します。これを公証人が認証することで、文書の証拠価値を高めるものです。つまり、「財産をお願いする側」が財産の管理をお願いすることを公証人に対して口に出すことです。

信託契約では、どこまで財産をお願いできるのでしょうか?
犯罪行為、脱法行為、公序良俗に反する行為などの行為は不可です。つまり、一般にやってはいけない法律違反は不可です。当たり前ですね。
財産の管理に関して、法に触れる以外の行為は、原則として問題ありません。ただし、契約書に特段の定めを決めておく必要がある場合があるので、ご注意ください。また、どのような行為が法に触れる行為であるのかきちんと確認しておく必要があります。

家族信託®に関係する法律は、信託法。
まず、現在の状況をお伝えします。現在、法曹界の学説として、大まかにいうと信託法の解釈方法が2通り存在しており、未決着です。しかし、家族信託®を使用する人にとって、実質的な解釈はどっちなの?ということが重要です。したがって、本コラムでは、実質的に解釈しやすい学説に基づいて、お話をしていきます。また、信託契約を締結する際には、信託法以外の法律が関係する部分もあるので、信託契約を締結する際には、信託法以外の法律も確認する必要があります。

実際に信託契約を締結するとどうなるのでしょうか?
本コラムの読者の皆様は、不動産に関係する方が多いと思いますので、不動産を例にしてお話をしていきます。
信託契約前、つまり通常の状態において、不動産をお持ちの方は「所有権」を有しています。
信託契約後においては、「所有権」が2つに分離します。分離して、「名義」と「受益権」になります。

このように話すと、何が起こったのか?と思うかもしれません。しかし、そもそも「所有権」は、「名前」と「利益」の2つの性質を有する権利です。信託契約を締結すると、この2つの性質が1つずつに分解されるということです。
このように考えると、理解しやすいと思います。
「名前」は、所有者として登記簿に記載され、所有権を示すもの。
「利益」は、所有している不動産を使用する権利。賃貸不動産であれば、賃貸して得られる賃料は、原則として所有権を有する人のものです。

「所有権」は、「名前」と「利益」の2つの性質を有する権利で、財産をお願いする人が持っています。
「名義」は、財産を任された人、つまり管理、運用する人の名前になります。
「受益権」は、利益を受ける権利です。
さて、3つの単語が出てきました。ということは、3つの単語に該当する登場人物が3人いることを意味します。

信託の登場人物は、3人。
信託には、必ず3人の登場人物が存在します。実際には、3人以外にも登場人物が存在する場合はあります。まず、基本形を理解する必要がありますので、3人でお話をしていきます。
(1)「所有権」を有する人=”財産をお願いする人”=「委託者」
(2)「名義」の人=”任される人”=「受託者」
(3)「受益権」を有する人=”利益を得る人”=「受益者」

実際に、信託契約を締結すると、誰がどれに当てはまるのか?
ここで2人に登場してもらいましょう!
Aさん:不動産を所有している。90歳なので、不動産の管理が辛くなってきた。
Bさん:Aさんの子供。本人は、Aさんの不動産を受け継ぐものと思っている。
このようなケースをイメージしてみてください。これから超高齢化社会になる日本において、想定されそうですよね。
えっ?2人しか登場していませんけど、大丈夫ですか?という声が聞こえてきそうですね。
この場合、
(1)「所有権」を有する人=”財産をお願いする人”=「委託者」=Aさん
(2)「名義」の人=”任される人”=「受託者」=Bさん
(3)「受益権」を有する人=”利益を得る人”=「受益者」=Aさん
信託契約において、このように設定することができます。
重要なことは、誰にどの役をやってもらうのか?を考える必要があるということです。

次回は、「認知症の対策で考えられるパターン」についてお話をしていきます。

(注) 家族信託®は、一般社団法人 家族信託普及協会が商標登録しています。

■■ 第3回 まず、家族信託®という方法があることを知ろう!

第2回目では、これからの相続対策として、「認知症対策」「承継者対策」についてお話しました。ぜひ、対策を講じていただきたいと思います。

さて、我が国は今後、超高齢化社会になると言われていますので、
特に「認知症対策」について、お話ししていきます。
認知症のように判断能力が低下した場合に何も対策を行わないと、
・銀行の預金を下ろすことができなくなる。
・自宅を含む不動産は何もできなくなる。
というお話をしました。

そもそも、認知症のように判断能力が低下した場合において、現実的にはどのように対応することができるのか?ということです。

成年後見制度に基づいて、申し立てを行い、成年後見人が財産を管理することになります。財産を管理する成年後見人は、家庭裁判所が成年後見人を任命します。現在、首都圏において、多くの場合、成年後見人には弁護士、司法書士などが選任され、家族が選任されることは少ないようです。また、成年後見人に対して、月額の報酬を支払う必要があります。
成年後見制度の詳細については割愛しますが、
つまり、介護を行なう人が、介護に必要な費用を認知症の人の銀行口座から引き出すことができないという状況です。

そこで、認知症のように判断能力が低下する前に対策を講じることはできないのか?と思いませんか?
一つの方法として、家族信託®という方法があります。家族信託®は、信頼する人に自分の財産を託し、管理してもらう方法です。その目的は、契約の範囲内で財産の管理を任せることです。財産を管理する人は、自分が決めます。ここが一番重要なポイントです!!
すなわち、信頼する人を自分で見極めなければなりません。

なぜ、家族信託®が注目されているのか?
詳細は割愛しますが、成年後見制度では、使い勝手が悪くなり、柔軟性に欠け、現実に見合わない部分が出てきています。
一方、家族信託®では、契約の範囲内で、柔軟に対応することが可能です。
家族信託®は、信託法に基づいています。信託法は、2006年に大幅に改正され、家族信託®を行いやすくなりました。
(成年後見制度は、民法に基づいています。)

また、ここ2,3年で
・ 家族信託®の事例の増加
・ 家族信託®に関する専門家の増加
・ テレビ、書籍等における家族信託®の紹介
などにより、注目を浴びています。
今後、ますます注目を浴びると考えております。
とはいえ、成年後見制度と比較すると、まだまだ知られていないのが現状です。
成年後見制度の利用:約19万件(2015年)(*1)
家族信託®の組成:300件程度(現状の最新) (*2)

家族信託®に関する専門家から発信されている情報は、増加しています。一方で、家族信託®を経験した人から発信されている情報は、非常に少ないです。たとえ、家族信託®が良い方法であると理解できたとしても、事例がないと納得できないと考える方も多いと思います。
家族信託®を経験した人から発信されている情報が非常に少ない理由は、相続対策の一貫として、家族信託®を使用することが多いからです。家の相続対策を外に話すことは多くないため、なかなか経験談が発信されないと感じております。

ここまでお読みいただいた皆様はこのように考えているでしょう。
「そんなこと言っても、本コラムの著者は、家族信託®の専門家ですよね。」
おっしゃる通り、私は家族信託®に関する専門家と言えるでしょう。しかし、私は家族信託®に関する専門家だけではありません。家族信託®を経験し、継続しています。家族信託®を経験した後に、家族信託®に関する専門家になっているところが非常に珍しく、多くの専門家から話を聞きたいと言われています。
そのため、テレビや専門雑誌からインタビューを受けたことがあります。

なぜ、著者がわざわざ専門家になったのか?
著者の経験に由来するものです。
それは、
・ 家族信託®が非常に良い方法である。
・ 専門用語が難しい。
・ 専門家の話が理解しづらい。
と感じたからです。
わかりやすく説明する専門家もいます。一方、専門用語を多用することで、素人が理解できない説明をする専門家もいます。おそらく、このような状況は、家族信託®に限らないでしょう。残念でなりません。
本コラムでは、家族信託®という方法をわかりやすく伝えたいと考えています。

専門家のように家族信託®の設計、契約書を作ることは、素人には難しいです。
一方で、専門家と話ができるレベルになることは、難しくありません。専門家と話ができるレベルになれば、自分の意図を専門家に伝えることで、自分に合った家族信託®の契約書にすることが可能になります。

そこで、専門家と話ができるレベルになるためには、これだけは理解してもらいたいことを本コラムではお話ししていきます。
次回は、「家族信託®の基本」です。

(注) 家族信託®は、一般社団法人 家族信託普及協会が商標登録しています。
(*1) 内閣府「成年後見制度の現状」
(*2) 家族信託®ファクトブック2017暫定版


■■ 第2回 これからの相続対策はここまで考えよう!

第1回目では、今までの相続対策についてお話をしてきました。
・相続税を減らすために税理士等に相談して対策を講じた。
・どの資産を誰に承継させるかを遺言書に記載した。
・納税するための資金を用意した。
ここまで対策を講じていない皆様は、資産の現状、家族構成をふまえた上で、しっかり考えることをオススメします。

さて、これ以上何が必要であるのか?
まず、我が国の現状から把握していく必要があります。
我が国は高齢化社会であり、今後、超高齢化社会になると言われています。医療は発達し、「平均寿命」はさらに伸びると言われているからです。

一方で、厚生労働省が「健康寿命」という単語を発表しています。「健康寿命」とは、健康で生活することができる年齢と定義されています。つまり、「健康寿命」と「平均寿命」との間に差が生じることになります。この差は、約10年と言われています。この差が生じる期間は、日常生活に制限のある生活を送る期間となります。
例えば、足が悪い、認知症などが挙げられます。日常生活に制限のある生活になるため、本人が所有している資産の管理を次世代に行ってもらいたいと考える方もいると思います。

その中でも、認知症などにより判断能力が低下すると、大変な状況になります。
民法では、契約は双方の合意によって、形成されるとされています。認知症のように判断能力が低下してしまうと、合意することが難しくなります。すると、契約を締結することができなくなります。
契約など自分には関係ないと考えている皆様も多くいらっしゃると思いますが、大いに関係があります。
例として、
・銀行の預金を下ろすことができなくなる。
・自宅を含む不動産は何もできなくなる。
などがあげられます。
特に、不動産は、契約事項ばかりです。従って、賃貸している不動産オーナーの判断能力が低下してしまうと、契約できなくなるので、何もできなくなってしまいます。
旧民法下では、「隠居」という形で条件はありますが、生前中に相続することが認められていました。しかし、現民法下では、「隠居」は法的に認められておりません。

さて、判断能力が低下して、何もできなくなる状況を回避するには、
(5)判断能力が低下した時のために対策を講じる。
本コラムで話している対策とは、きちんと契約書に落とし込むということです。
このように判断能力が低下することまで考えて対策を講じている人は、非常に少ないのではないでしょうか?
ここまで対策を講じていれば、相続対策の達成度80%です。

まだ、何か必要でしょうか?
総務省統計局の統計データによれば、我が国では、1世帯の人数が減少しています。2015年のデータによると、1世帯当たり2.38人です。
つまり、単身者世帯が増加しており、二、三世代で同居している家族が少ないことを意味しています。
この場合において、相続が生じたら、どうなるでしょうか?
同居していないわけですから、コミュニケーションを密にとっていない限り、何もわからない状態です。

突然、賃貸している不動産を相続した場合はどうなるでしょうか?
賃貸している不動産の状況、管理方法、これまでの経緯、賃貸のノウハウ、毎月の賃料、管理会社、管理担当者など知らなければならないことが山積みです。しかし、突然相続したので、まったくわからない状態です。

このような状況になることを回避するために、
(6)承継者を事前に決定し、教育しておく。
承継者を事前に決めておき、賃貸している不動産を一緒に経営すれば、突然状況が変化しても対応できます。また、賃貸のノウハウや人脈はすぐに受け継ぐことができませんので、少しずつ承継者に受け継いでもらう必要があります。
承継者であると言われて、すでに賃貸している不動産の経営を引き継いでいる人もいると思います。ぜひ不動産の経営を続けていただきたいと思います。

ただし、注意点があります。承継者であることを口頭で言われただけではないしょうか?もしくは、暗黙の了解ではないでしょうか?本コラムで話している「承継者を事前に決める」とは、きちんと契約書に落とし込むということです。ここまで対策を講じている人は少ないのではないでしょうか?
ここまで対策を講じていれば、相続対策の達成度90%です。

あらゆる対策において、完璧なものはありません。対策後においても、状況に応じて、変化していきますので、完璧であるとは考えずに、場合によっては見直すことも考えていただきたいです。

さて、
(5)、(6)に関して、どのような方法で対策を講じれば良いのか?
その方法として、「家族信託R」という方法があります。
次回、「家族信託R」という方法についてお話ししていきます。

(注) 家族信託Rは、一般社団法人 家族信託普及協会が商標登録しています。

■■ 第1回 あなたの相続対策は間違いだらけ!?

「うちは相続対策なんて必要ないよ」と皆様考えていませんか?
本当に何もしなくて問題ないでしょうか?
一方で、「うちは相続対策したから、完璧だよ!」という皆様もいると思います。
完璧であれば、まったく問題ありません。本当に問題ないでしょうか?

そこで一度、相続対策の達成度をチェックしてみたらいかがでしょうか?
(1) 相続対策は何もしていない。
(2) 相続税を減らすために税理士等に相談して対策を講じた。
(3) (2)の対策を講じた上で、どの資産を誰に承継させるかを遺言書に記載した。
(4) (2)、(3)の対策を講じた上で、納税するための資金を用意した。
結果はいかがでしょうか?
一つ一つ解説していきます。

(1) 相続対策は何もしていない。
残念ながら、相続対策の達成度0%です。稀に相続対策をする必要がない方もいらっしゃると思いますが、多くの方は相続対策が必要になります。資産の現状、家族構成をふまえた上で、しっかり考えることをオススメします。
また、相続放棄をしたほうが良いケースもあるでしょう。相続放棄をしたほうが良い場合には、必ず相続人に話をしておくべきです。

(2) 相続税を減らすために税理士等に相談して対策を講じた。
(2)にチェックした人は多かったのではないでしょうか?
資産が基礎控除内である皆様、自宅を所有しており小規模宅地等の特例を用いることで、相続税を支払う必要のない皆様もここに属することになります。
さて、本当に相続税を減らすことだけが目的でしょうか?
世の中では、相続対策というと相続税を減らすことであるという認識があります。しかし、相続税を減らすことは相続対策の一部分にすぎません。
そのため、相続対策の達成度20%です。

また、相続税を減らすためだけに、本当にアパート、マンションを建築する必要があるのか、中古不動産を購入する必要があるのかもう一度考えていただきたいと思います。

不動産は非常に高額な買い物です。したがって、現金一括で買うことができる人は稀で、多くの人は金融機関から融資してもらい、購入します。相場からかけ離れた家賃設定や人口が少ない場所に新築し、満室にならないことが原因で、返済できなくなった場合は、どうなりますか?
抵当権に基づき、せっかくの資産が手元から無くなります。相続税を減らすことを目的として行った対策が原因で、資産がなくなり、結局相続税を支払う必要がなくなったとしたら、元も子もありません。
購入する前に、収益性も考慮した上で、購入するべきであるか否かもう一度考えていただきたいと思います。

(3) (2)の対策を講じた上で、どの資産を誰に承継させるかを遺言書に記載した。
なぜ、承継させる人を決める必要があるのか?
裁判所の司法統計によると、遺産分割裁判の75%が資産5000万円以下の場合に生じているという事実があります。理由は、簡単です。遺産を分割できないからです。相続税を支払う必要がない場合でも、遺産を分割する必要があります。例えば、遺産の中でお金は分割することができますが、自宅を所有している場合、自宅を真二つに分解することはできません。分割できないから、もめてしまうわけです。そこで、あらかじめ遺言書によって資産の承継先を指定していれば、もめる可能性を限りなく少なくできます。ただし、注意点があります。
・ 相続人全員が合意すれば、遺言書とは異なる方法で分割することができます。本人の意思が反映されないこともあります。
・ 不動産の場合、複数人で共有状態になると、売却、修繕など判断が必要になる際に、共有者の合意が必要となります。相続時点でもめることはなくとも、もめる種を残すことになります。
なるべく、共有状態にすることは避けることをオススメします。
ここまで対策を講じていれば、相続対策の達成度40%です。

(4) (2)、(3)の対策を講じた上で、納税するための資金を用意した。
なかなか(4)まで対策を講じている人は少ないのではないかと思います。
なぜ、納税するための資金を用意する必要があるのか?
相続税は原則として、金銭で支払う必要があります。金銭がない場合には、遺産を売却して金銭を用意する必要があります。所有している不動産を納税期日までに希望の価格で売却することができるかどうかは不明です。ですから、前もって納税するための資金を用意する必要があります。
今までであれば、(4)まで対策を講じていれば「ほぼ完璧」でした。
しかし、時代は常に変化していきます。
ですから、ここまで対策を講じていれば、相続対策の達成度60%です。

さて、これ以上何が必要であるのか?
次回は、時代の変化に即した「認知症対策」、「承継者対策」についてお話ししていきます。
 
 
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