よくあるご質問(Q&A)
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賃貸借契約について
●契約の成立(5) 
●契約金の支払い(1)
●消毒費(1)
●保証金(1)
●仲介手数料(3)
●礼金(1)
●手付金(2)
●申込金(2)
●入居申込書(2)
●契約書(6)
●重要事項説明書(2)
 
敷金診断士について
●「敷金・保証金診断士」とは何ですか?
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賃貸借契約について

●契約の成立(1)
 「手付金の支払いと契約解除」
 申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、仲介業者から、「家主の都合で入居できなくなったので、手付金の倍返しを行って解約する」という連絡が入った。現在、住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?

 手付金を支払っていたということは、家主が契約の承諾していたという前提がありますので、契約が成立していたということです。その場合、家主がカギを渡すとか、借主が契約金の全額を支払っていた(契約の履行に着手していた)ということがなければ、解約手付けとして、家主は、預かった手付金を返し、さらに同額を借主に支払う(手付金の倍返し)ことで、契約を解除することができるのです。逆に言えば、家主が手付金の倍返しを行えば、それ以上の責任を逃れることができますので、借主としては、他の物件を探すしかないのです。


●契約の成立(2)
 「契約の成立時期と契約書」
 申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、家主から、「都合で入居できなくなったが、まだ契約書を交わしていないので、預かった手付金を返却する」という連絡が入った。現在、住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?

 契約が成立するには、家主の承諾が必要ですが、契約書への双方の署名・捺印がなければ契約が成立しないというわけではありません。したがって、家主から契約を解除するには、手付金の倍返しを行う義務があります。契約書は、契約した内容を双方が覚えておくための書類だということを、家主にきちんと理解してもらい、手付金の倍返しを行うように交渉してください。


●契約の成立(3)
 「契約の成立時期と(連帯)保証人の確保」
 申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、仲介業者から、「家主の都合で入居できなくなったが、まだ、連帯保証人の保証書が提出されておらず 契約は正式には締結されていないので、預かった手付金を返金する」という連絡が入った。 現在住んでいる物件の退去通知も行ったため、 いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?

 ほとんどの賃貸借契約では、「(連帯)保証人の確保」という条件がついていますが、 これをどのように理解するかによって、契約が成立しているかどうかという判断が分かれてきます。 一部の都道府県によれば、「保証人の確保」は契約の「停止条件」として取り扱っています。 「停止条件」としてとらえると、保証人の保証書が提出されるという「条件」が満たされて初めて、 「契約の成立」とみなされることになります。 逆に言えば、それまでは、契約が成立していないとみなされるわけですので、 仲介業者の主張の通りということになりますので、他の物件を探さざるを得なくなります。 しかし、正確に言えば、「保証人の確保」は、「停止条件」ではなく、「解除条件」なのです。 「解除条件」としてとらえると、「万が一、保証人の確保ができなかった場合には、 成立していた契約を解除する」ということになります。 似ているようですが、法的な意味としてはまったく異なるのです。 なぜ、「解除条件」であるかと言えば、家主にとっては、万が一、 借主側が保証人を立てられないという事態に陥った場合でも、契約を解除する、 保証会社の利用をしてもらう、保証人なしでも契約する (他の入居者を見つけるのが困難な場合など)などの選択肢があり、 その時点で、解除するかどうかを判断することができるからです。 いずれにしても、保証人の確保は、契約の解除条件ですので、 契約としてはそれ以前に成立していることになります。 したがって、契約の続行を求めるか、やむを得ず、家主が解除してくる場合でも、 手付金の倍返しを求めるべきでしょう。


●契約の成立(4)
 「契約の成立時期とカギの引渡し(貸主からの解除の場合)」
 申込書を提出し、手付金も支払い、その後、契約金の残金も支払っていたのに、入居予定日の直前になって、管理会社から、「ある事情から、入居不能になった。しかし、まだカギ渡ししていないので、法的には、『契約の履行の着手』前であるので、手付金の倍返しを行って解約する」という連絡を受けた。現在住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?

 手付金の支払い後、借主が手付金の放棄で、家主が手付金の倍返しで、解約できるのは、「相手側が契約の履行に着手するまで」となっています。借主から解約できるのは、家主からカギを受け取るまでとされているのに対し、家主から解約できるのは、借主が契約の履行に着手する(=契約金の残金をすべて支払うなど)までです。 つまり、カギ渡し前だという理由で解約することができるのは、借主であって、家主ではないのです。借主が契約金をすべて振込んでいたような場合には、家主は手付金の倍返しでは済まされず、借主が負った損害についてすべてを弁償しなければなりません。具体的には、入居できなくなったことで発生する費用(次の物件の契約のための費用や引越し代など)は、家主が負担しなければなりません。


●契約の成立(5)
 「契約の成立時期とカギの引渡し(借主からの解除の場合)」
 申込書を提出し、手付金も支払い、その後、契約金の残金も支払っていたが、 たまたま他に条件のよい物件が見つかったので、家主に、 「ある事情から解約したい。まだカギ渡ししていないので、法的には、 『契約の履行の着手』前であるので、手付金の放棄で解約する」という連絡を行った。 しかし、家主は、「契約金をすべて受け取っているので、手付金の放棄だけでは解約できず、 礼金も返せない」と言ってきた。このような場合、 礼金の返還はしてもらえないのか?

 前項でも述べているように、借主が手付金の放棄で解約できるのは、 契約の相手側(家主)が「契約の履行に着手するまで」とされています。 そして、家主の「契約の履行に着手」することは、カギ渡しが代表例とされています。 今回のケースでは、借主としては、契約の履行への着手行為として、 契約金のすべてを支払っていますが、契約の相手側の家主は、 まだ契約の履行に着手しているとは言えないというのが一般的な解釈ですので、 手付金の放棄で解約できることになります。 しかし、契約金の残金まで支払っていながら、 「他に条件のよい物件を探していた」という行為自体は、 家主に対する裏切り行為ではないでしょうか? つまり、判例などによれば、手付金の放棄だけで解約することはできることになりますが、 家主のリスク(次の入居者を急きょ探すことになるため、 すぐに入居者が見つからない可能性がある)を考慮すれば、 礼金の一部は支払ってもよいと思います。


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●契約金の支払い
 「契約金の支払い時期」
 契約金の残金支払いを入居日直前まで待ってほしいと言ったが断られた。

 建物の売買契約などでは、当事者双方のリスクを軽減するために、同時履行と言って、売買代金の支払いと不動産の移転登記手続きを同に行うことが多いのですが、 賃貸借契約ではどうなのかということがポイントです。 つまり、賃貸借契約においても、「同時履行の抗弁権」を主張できるかどうかということです。 「同時履行の抗弁権」を主張するためには、次の3つの要件を満たす必要があるとされています。 ひとつは、ひとつの双務契約(どちらも何らかの義務を負っている契約)から生じた双方の債務が存在すること、 賃貸借契約は、家主には借主に物件を引き渡す義務があり、借主には家主に契約金を支払う義務がありますので、 これに該当します。 二つ目は、相手方の債務が履行期にあること、賃貸借契約では、借主の立場からすると、 家主の履行期(=物件の引渡し日=カギ渡し日)はまだ来ていませんので、 この点は要件を満たしていません。 そして、三つ目が、相手方が自己の債務の履行又は履行の提供をせずに履行を請求してきたこと、 つまり、賃貸借契約においては、カギ渡し日を過ぎたのに、カギ渡しをしないのに、 契約金の支払いだけを要求してきたという場合ですが、これもカギ渡し前ですから、 用件には該当しません。 つまり、入居直前まで契約金の支払いを保留するということは、法律上では認められないということになり、 家主との協議次第ということになるのです。 一般に、家主は、入居直前のキャンセルを恐れるために、契約金の支払いを早めにしてもらおうとしますので、 どうしても、入居直前まで費用を用意できないのであれば、その説明をきちんと行う一方で、 「キャンセルは行わないし、万が一契約金の支払い前にキャンセルする場合でも、 契約金は全額支払う」というような念書を家主に提出して 了解を得るというような方法を検討してみてはどうでしょうか?


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●消毒費
 「消毒費の支払い義務」
 消毒料を支払えと言われたが、支払う必要があるのか?

 家主が請求するにしろ、仲介業者が請求するにしろ、どちらにしても支払う必要はありません。 家主には、家賃という対価を取って他人に物件を貸す以上、借主に「使用収益させる義務」があります。 つまり、借りる人が、安全快適に生活できるようにするのが家主の務めなのです。 従って、万一、「消毒しないと住めない」状態であるなら、家主の費用と責任で消毒すべきなのであり、 借主に請求するなどもってのほかです。ただ、家主が「消毒料」などを請求するケースはほとんどないと思います。 実際には、仲介業者が勝手に請求しているケースが多いのです。なお、仲介業者は、消毒料等の請求に正当性がないことを自覚していることが多く、 あとから訴えられないように、「消毒しておいたほうが安心だから、 消毒しておきましょうか?」というように持ちかけ、 あくまで、借主の希望によって任意で消毒を行っているという姿勢の場合がよくあるので、 きっぱりと断ることが重要です。


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●保証金
 「保証金と敷金の違い」
 保証金と敷金は、どのような違いがあるのか?

 保証金と敷金の違いとしては、実態としては、 ほとんど同じような意味で使われていることが多いのですが、 厳密に言えば、次のような違いがあるとされています。
1  保証金は、事務所、店舗やテナントなどの主に法人契約によく使われ、 敷金は、個人の住居の契約によく使われています。
2  保証金は、約定によって、退去時に敷引き(解約引き、償却などと呼ぶ場合もあります)があることが多いのに対し、 敷金は、通常、敷引きがなく、実費精算です。
3  保証金は、法律上規定のないお金ですが、 敷金は、民法第316条,第619条などに規定のあるお金です。 ただし、判例では、敷引きのない保証金は「敷金」と同じ扱いとなっているようです。
4  保証金は、約定がないと権利の承継がありません(次の家主に引き継がれない)が、 敷金は原則として新しい家主にも引き継がれます。
5  保証金=敷金+礼金という解釈もあります。 つまり、保証金方式をとっている場合には、同時に、敷引きなどがある代わりに、 礼金を取ることがなく、敷金方式をとっている場合には、敷引きがない代わりに、 礼金を取る地域が多いということです。


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●仲介手数料(1)
 「高額な仲介手数料の支払い義務」
 仲介手数料として10万円(税別)を請求されたが、高すぎるような気がするが、支払い義務があるのか?

 宅建業法第46条および建設省告示1552第3によれば、賃貸借契約の媒介においては、借賃(通常は家賃のことです)の1か月分プラス消費税が限度とされています。そして、告示の後段で、「居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる金額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き借賃の1か月分の2分の1に相当する金額以内とする」としています。つまり、業者は、借主に対して事前に「1か月分支払うこと」を承諾させていなければ、家賃の半額プラス消費税以上の報酬を請求してはいけないとされているのです。しかし、実態としては、ほとんどの業者がこのルールを守らず、事前の承諾なしに、「家賃の1か月分プラス消費税」を請求しています。そこで、相談内容を見ると、「10万円の手数料を請求」ということですので、まず、家賃がいくらなのかをご確認ください。手数料金額が家賃の1か月分プラス消費税よりも高額であれば、明らかに宅建業法違反ですし、「事前の承諾をしていない」ということであれば、家賃の半額プラス消費税分を超える部分については、支払い義務がありません。業者が、どうしても「支払え」と言ってくるようであれば、「では、都道府県庁の業者監督窓口に相談する」と言えば、ふつう、業者は、支払請求を取り下げるでしょう。


●仲介手数料(2)
 「仲介手数料の額」
 業界に詳しい人から、「仲介手数料は、本来、家賃の半額プラス消費税」だと聞いたが、業者は、「家賃の1か月分プラス消費税だ」と言って譲らない。業者の言うとおりに従わざるを得ないのか?


 宅建業法および建設省告示では、居住用の建物の賃貸借契約の媒介を依頼した場合は、本来、借主の事前の承諾がなければ家賃の半額プラス消費税ですが、不動産業界の慣習では、事前の承諾の有無に関係なく、家賃の1か月分プラス消費税というのが実態です。そこで、業界の慣習に従うか、それとも、法律上の規定どおりの主張をして、業者とやりあうかは、本人次第ということになります。法律上は、0.5か月分を上回る分は支払う必要はありませんが、業者から、「それでは契約できない」と言われれば、行政に訴えるなどして、一定の手間と時間をかけることになってしまうでしょう。業者が素直に、「半月分でよい」と言えばよいですが、「絶対1か月分は必要」と言ってきたときにどうするのかは、本人の考え方次第でしょう。

●仲介手数料(3)
 「仲介手数料の支払い義務」
 家主=仲介業者の物件を契約したのに、仲介手数料を請求されたが、支払わざるを得ないのか?

 仲介手数料は、法律上は、媒介報酬というもので、家主と借主との間で、媒介(仲介)することの手数料ですから、不動産業者自身が家主であり、その業者と直接契約するのであれば、媒介(仲介)そのものがありえません。従って、仲介手数料を支払う必要は一切ありません。それでも、業者が「支払え」といってくる(あるいは支払わされた)のであれば、都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に行き、業者に対する指導をしてもらう必要があります。


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●礼金
 「高額な礼金の支払い義務」
 礼金が高額なので支払いたくないのだが‥。

 礼金というのは、法律上、特に規定のないお金です。 礼金のやり取りは、単なる慣習に過ぎません。 従って、礼金を支払おうが、支払いを拒否しようが、当事者の自由なのです。 問題は、家主が礼金の支払いを求め、借主がそれを拒否した場合に、 家主が契約を拒否するだろうということです。 借主にも、物件を選ぶ自由があるのに対して、家主は、誰と契約するかの自由があるのです。 従って、「礼金が高額なので支払いたくない」と言っても、 家主が認めてくれなければ、契約できないだけなのです。 契約そのものを強制することはできないからです。


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●手付金(1)
 「契約解除と手付金」
 
仲介業者に手付金として支払ったがキャンセルしても返金されない。

 本来、手付金として受け取ることができるのは、契約の当事者である家主だけです。 仲介業者が便宜的に受け取る場合には、家主からの代理権が必要であり、 家主から、手付金の受領を認めるという委任状等を提示する必要があるとされています。 業者が、家主の代理権を証明するものを提示すれば、仲介業者でも、 手付金として受領することができるので、手付金支払い後にキャンセルする場合には、 解約手付金扱いとなり、手付金の返金は不可能になっても仕方がないでしょう。 ところが、よくあるケースとしては、実際には、代理権そのものを得ずに、 仲介業者が受け取っているケースです。 以前は、仲介業者が、代理権なしに便宜的に手付金を受け取ることも慣習として 黙認されるケースが多かったのですが、最近は、厳密に解釈するようになってきています。 一方、賃貸借契約そのものは、手付金の授受によって成立するという考え方が多いですので、 仲介業者が預かった手付金が家主の元に届けられ、家主が契約書を発送した (契約の着手と考えられます)あとは、手付金は、解約手付金として扱われてもおかしくないと思います。 つまり、仲介業者が預かってから一定の期間が経過すれば、 解約手付金として処理されても仕方がないと思います。「一定の期間」は、通常、1週間もあれば十分でしょう。 逆に言えば、仲介業者に手付金として支払った場合でも、 正式の代理権がなかったとき(支払い時に代理権を証明するものを提示されなかったとき)は、 支払い直後であれば、キャンセルした場合には、 返金に応じるべきであると解釈されるようになってきたのです。 なお、いずれにしても、手付金として支払う場合には、 「キャンセルする場合には返金されない」ということを覚悟して支払うべきだと思います。 なぜなら、手付金を支払えば、借主だけでなく、家主に対しても強い拘束力があるからです。 安易に、「仮押さえ」するつもりで手付金を支払うべきではありません。

●手付金(2)
 「高額の手付金の支払い義務」
 
高額の手付金を請求されたが従わざるを得ないのか?

 賃貸借契約の手付金としては、通常、家賃の1か月分が相場です。それよりもはるかに高額な手付金を要求するような場合には、何か、問題点を隠している場合が少なくないと思います。つまり、発覚すればキャンセルしたくなるような問題点があり、もし、借主が見つけた場合、キャンセルするには手付金の放棄が必要となるので、高額な手付金を取っていたほうがキャンセルしにくくなるからです。このようなケースでは、手付金を相場にしてもらうだけでなく、手付金の支払い前に、問題点が隠されていないかどうか、もっと調査しておいたほうがよいと思います。


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●申込金(1)
 「契約解除と申込金(貸主に直接支払った場合)」

 家主に申込金として支払ったがキャンセルしても返金されない

 家主に直接「申込金」などとして支払った場合でも、仲介業者に支払った場合と同じく、契約を解除する場合には、全額返還されるべきです。しかし、問題なのは、仲介業者の場合には、行政の監督窓口からの指導によれば、すぐに従う可能性があるのに対して、家主の場合には、「監督窓口」そのものが存在しないことです。従って、家主が素直に返金に応じない場合には、少額訴訟などの法的手続きによらなければ返金に応じない可能性があります。しかし、少額訴訟の費用と手間を考えれば、少額訴訟すること自体、費用倒れに終わる可能性もあります。なお、家主に申込金を支払っていても、仲介業者でその物件を紹介されていた場合には、仲介業者に責任追及することが可能だと思いますので、仲介業者との交渉が必要です。
参考記事
■消費者団体訴訟
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200706120113.html

●申込金(2)
 「契約解除と申込金(仲介業者に支払った場合)」
 
仲介業者に申込金として支払ったがキャンセルしても返金されない

 申込金、申込証拠金、予約金、その他どのような名称であっても、手付金以外の名目で業者に対して支払ったお金については、契約をキャンセルした場合、返金されなければなりません。業者が万一返金に応じない場合には、宅建業法違反となりますので、業者に「業法違反だから返金せよ」と迫り、それでも返金しない場合には、都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に相談すれば、業者も返金に応じるものと思います。

 
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●入居申込書(1)
 「入居拒否の理由開示義務」

 家主の審査で落とされたが理由も説明されないが、家主には説明する義務があるのではないか?

 家主には、契約自由の原則によって、誰と契約しようが、逆に契約するのを拒否しようが自由なのです。従って、借主に対して、いちいち契約拒否をした理由を説明する義務も負わないのです。極論すれば、「気分が悪かった」だけで契約しなかったということでもかまわないのです。

●入居申込書(2)
 「高齢を理由とする入居拒否」

 本人が高齢のため入居を拒否されたが、何とかならないか?

 平成13年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が制定され、高齢者の入居を拒否しない賃貸住宅の登録・閲覧制度や終身借家制度などが誕生し、高齢者に対する一定の保護が前進しましたが、いまだに「高齢」を理由とした入居の拒否があとを絶ちません。現状では、家主の「良心」に委ねるほかなく、強制的に、入居を認めさせることはできません。家主を説得したい場合には、行政の窓口で相談し、家主への説得を行ってもらうという方法も考えられますが、根本的には、上記の法律で登録された高齢者の入居を拒否しない賃貸住宅を探すことだと思います。

 
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●契約書(1)
 「重要事項説明書よりも不利な内容の契約書」

 重要事項説明書の記載内容よりも契約書の記載内容の方が不利な規定だったので、 管理会社に苦情を申し立てたが、「仲介業者が悪い」として相手にしてくれなかった。 泣き寝入りするしかないのか?

 重要事項説明書の内容と実際の契約書の記載内容が異なる場合、 原因としては、仲介業者の調査が不十分であったことが考えられます。 しかし、契約そのものは、家主と借主との間で行うものであり、 「(重要事項説明書の内容と異なるから)重要事項説明書の内容にあわせてほしい」 と言っても認められることは少ないでしょう。 つまり、家主(代理人としての管理会社)との間では、強い主張は難しいと思います。 しかし、仲介業者には、事実と異なったことを説明したことによって発生した 損害について賠償責任を追及することが可能だと思います。 従って、仲介業者との間では泣き寝入りする必要は一切ないということです。 なお、仲介業者が誠意ある対応を見せず、単に「すみませんでした」だけで済ませるのであれば、 都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に、 書類を持って出向き、業者への指導をお願いしてはどうでしょうか?


●契約書(2)
 「仲介業者の契約書と管理会社の契約書」

 仲介業者で受け取った契約書内容と管理会社から送られてきた契約書の内容が異なるのだが、 どちらが正しいのか?

 仲介業者が、本来、管理会社が指定する契約書を使用すべきところを、 自社で使用している契約書を間違って使用したことが原因だと思います。そうだとすれば、正しい契約書は、管理会社が用意したものとなります。 そこで、万一、管理会社が用意した契約書の内容と仲介業者で受け取った契約書の内容が大幅に異なり、 仲介業者で受け取った契約内容だったから契約したという場合には、 仲介業者に対して、損害賠償を行うことが可能となるでしょう。


●契約書(3)
 「契約更新ごとの家賃値上げの条項は無効か」

 契約書の内容を見ていたら、「契約更新ごとに家賃を5%値上げする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?

 「契約更新ごとに家賃を5%値上げする」という合理的な根拠はあるのでしょうか?万が一、そういう根拠があれば、「不当な契約」とは言えません。しかし、ふつうは、「更新ごとの自動値上げ」を行うような合理的な根拠はないと思います。そういう場合には、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」に該当しますので、契約内容そのものが無効となります。できれば、最初から削除してもらうほうがよいと思いますが、あまり強い交渉を行うと、契約そのものができなくなる(家主が契約を拒否する)可能性もあります。入居を優先したいのであれば、あまりに強い要求は避けたほうがよいでしょうが、その代わり、契約更新時には交渉を行う必要があります。どちらがよいとは一概に言えませんが、最終的には、借主の判断次第となります。


●契約書(4)
 「家賃不払いによる退去の条項は無効か」

 契約書の内容を見ていたら、「家賃の支払いを1日でも遅延した場合には、 即刻退去するものとする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、 削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?

 このような規定は、単なる脅しに過ぎません。法的にも認められていません。家主としては、家賃の滞納を恐れるあまり、 このような規定を設けているのでしょうが、認められませんので安心してください。 家主として契約を解除するには、借主との間で信頼関係がなくなるような事態が前提となります。 家賃の滞納で言えば、判例では、6ヶ月程度以上の滞納があれば、 「信頼関係がなくなった」とみなされているようです。 いずれにしても、契約時点で削除を求める方法もありますが、 強い要求をすれば、契約そのものを拒否される可能性もありますので、 あまり神経質にならず、無視して契約してもよいと思います


●契約書(5)
 「貸主の都合による退去の条項は無効か」

 契約書の内容を見ていたら、「家主が物件を必要とする場合には、 即刻退去するものとする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、 削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか? 

 家主からの退去が認められるケースは、非常に限定されています。 家主が、単に、「物件を必要とする」だけで、退去が認められることはありませんので、 このような規定は、借地借家法の強行規定に違反するものであり、無効となります。 契約時に削除を求めてもよいですが、あまりに強く要求すると、 家主から契約そのものを拒否されてしまう可能性もあります。 そこで、あまり神経質にならずに、そのまま契約してもよいと思います。 そして、万が一、家主から退去を求められた場合に、 「契約内容の無効」を主張すればよいでしょう。


●契約書(6)
「借主に不利な契約内容」
 
契約書の内容が借主に一方的に不利なので拒否したいのだが‥

 契約というのは、本来、対等平等な2者の間において、 一方からの「申し込み」と他方の「承諾」によって成立します。 これは、「諾成契約」と呼ばれており、口頭だけで成立します。 たとえば、何かを買いにお店に行った場合を想定して考えればよくわかると思い ます。 「これをください(申し込み)」、お店「ありがとうございます(承諾)」。 日本の社会自体も、対等平等を前提としていますから、契約に関しても、 「契約自由の原則」(私的自治の原則)というものがあり、人身売買や殺人依頼 など、 公序良俗に反するような契約は無効ですが、 それ以外は、原則として、自由に契約することができるのです (なお、建物の賃貸借契約では借地借家法の強行規定に反する契約は無効であり 、 例文解釈と言って、契約書、契約約款中の定型的文言の解釈で、 文言通りに適用すると不当な結果となる場合に、その不当性を回避するために、 その文言を「単なる例文である」として、その有効性を否定する契約解釈の手法 などが 適用されるときも無効となります)。 「自由に契約する」というのは、契約内容も自由ですし、誰と契約しようが、 逆に契約を拒否すること自体も自由なのです。 さらに、契約の形式も自由なので、文書でも口頭でもかまわないのです。 民法自体も、「契約自由の原則」を前提としつつ、 契約内容を取り決めなかった場合のルールを規定しているのです。 賃貸借契約も、本来は、対等平等な私人間で契約すべきです。 しかし、実際には、対等平等どころではなく、立場の強い家主が一方的に定めた 契約内容を、 立場の弱い借主が承諾するかどうかにかかっているわけです。 ということは、単純に考えれば、借主に一方的に不利な規定を拒否したくても、 家主が認めてくれなければ、結局は契約そのものが成立しないのです。 つまり、家主には、「あなたとは契約しない」という権利があるわけで、 家主に「契約せよ」と請求すること自体できないわけです。 そういう状況を背景として、民法だけでは立場の弱い借主が一方的に不利である として、 借地借家法(旧借地法、旧借家法)が誕生しました。 そのため、借地借家法では、「強行規定」というものを設け、 一部の規定については、「契約書にどのような記載があっても、 借地借家法の強行規定に反するもので、 借主に一方的に不利な条項は無効である」としているのです。 また、2001年4月には、消費者契約法というものもできました。 この法律では、「消費者の利益を一方的に奪う契約条項は無効である」としてお り、 賃貸借契約書にどのように記載されていても、消費者契約法に違反するとされた 場合には、 借主は従う必要がなく、裁判しても勝訴する可能性が非常に高くなってきていま す。 相談内容を見ると、「借主に一方的に不利‥」ということですが、 具体的な記載条項を確認する必要があります。 その条項が、借地借家法の強行規定や消費者契約法に違反すると認められる場合 には、 そのまま契約しても、条項としては認められませんが、 できれば、トラブル予防のために、家主に「法律上認められないと思うので、 削除してもらえないか?」申し出ることもできます。 ただし、言い方には気をつけないと、家主が契約そのものを拒否してくる可能性 があります。 一方、上記の規定・法律に違反していない条項については、借主としては、 認めなければ、契約できない可能性が強くなります。 一般的な傾向として、空室が出てもすぐに借主が見つかるような条件のよい物件 の家主は強気ですので、 借主から「不利な条項を削除してくれ」と申し出ても、「無理に契約してもらわなくて結構。 他にいくらでも借りたいという人がいるから」という答えが帰ってくるのがオチ でしょう。 従って、「借主に一方的に不利な条項がある」場合、「不利を承知でも契約した い」のか、 「納得できなければ契約しない」のかをはっきりさせた上で、 家主(仲介業者)との交渉に臨まなければなりません。


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●重要事項説明書(1)
「重要事項説明書の説明」

 重要事項説明書を宅建主任者以外の人が説明したが、問題ではないのか?

 宅建業法によれば、重要事項説明書の説明とそれへの署名捺印は、 宅地建物取引主任者だけが行うこととされています。従って、宅建主任者以外の人が、説明したり、署名捺印したりするのは、業法違反となります。 ただ、新入生の部屋探しなどの場合、大学などによれば、 大勢の新入生がいっせいにやってくることがあり、大勢の新入生の契約手続きを同時に行うため、 主任者だけが説明することになると、説明のための待ち時間が 数時間に渡ってしまうというケースも現実には存在しています。 このような場合には、法律上は望ましくありませんが、現実的な対処として、 主任者以外のスタッフが大筋の内容を説明した上で、 主任者が説明に納得したかどうかの確認を行うという方法をとらざるを得ないところもあります。 もともと、重要事項説明は、消費者保護の観点から導入されたものなので、 単に、形式的に違反しているかどうかだけを問題視するのではなく、 消費者保護の立場から考えて、消費者に一方的に不利な状況になっているかどうかを 問題にすべきだと思います。


●重要事項説明書(2)
 「重要事項説明書と異なる内容の契約書の解除」

 重要事項説明書の記載内容が実際とは異なっていたので、 業者に「契約を解除したい」と言ったが、「申し訳ない」というだけで埒があかない。

 重要事項説明書の記載内容は、 契約するかどうかを判断する上で重要となる内容を説明したものですから、 記載内容自体が間違っているという場合は、業者として、何らかの責任を負わなければなりません。 「記載自体が間違っている」場合の原因としては、 家主が業者に提供した情報自体が間違っていたケース、業者が過失で記入間違いしたケース、 業者が故意に記載内容を変更したケースなどが考えられますが、 はっきりさせなければならないのは、 もし、「記載内容が間違っていなければ契約したかどうか?」です。 たとえば、遮音構造を物件選びの際に重視していた人が、 鉄筋コンクリート造だと説明されていたものが、実際には鉄骨造だった場合などは、 業者は、単に「すみません」では責任をおったことにはならず、 契約解除する場合の損害をすべて負うべきでしょう。 しかし、建築年が1・2年事実と異なっていたというようなケースや 全体の部屋数が少し食い違っていたというようなケースでは、 契約するかしないかにほとんど影響はなかったはずですので、 損害賠償まで求めるのは無理でしょう。 従って、ご質問のケースでは、業者に対して物件探しの際に 重視するポイントとして説明していた事項が間違っていたのかどうかがポイントとなり、 業者に対する責任追及の内容もおのずと異なってくるものと思います。

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敷金診断士について

 「敷金・保証金診断士」とは何ですか?

 「敷金・保証金診断士」とは、過去に当協会が実施していた認定制度であり、現在の「敷金診断士」の母体となった資格です。
 平成18年から、診断士の資質向上及び不適切な業務の排除を目的に、試験及び登録制度を踏まえた「敷金診断士」の制度に移行しました。

 「敷金バスター」とは何ですか?

 「敷金・保証金診断士」「敷金診断士」の活動について、一般消費者の方々親しみをもっていただけるよう、「敷金バスター」と呼称してこれを紹介している場合があります。

 「敷金鑑定士」「敷金鑑定士協会」とはどのような関係ですか?

 「敷金診断士」の講習を受講した者が、独自に活動を展開しているものです。当協会は、その活動内容については関知しておりません。
 

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敷金診断士試験について

 難易度はどのくらいですか?
 
 合格率は概ね70%となっております。
 初めて法律等を学ばれる方の、合格までの平均的な学習期間は、概ね1〜2ヶ月と思われます。 
 なお、宅建や行政書士等の資格の受験経験のある方は、ほぼ合格されております。

 どのように勉強したらよいのでしょうか?

 「NPO法人 リーガルライフプランニング」様より、敷金診断士受験用の教材が販売されております。
リーガルライフプランニングのHPへ》 
 その他、市販の、宅建・マンション管理士・管理業務主任者等の受験用教材でも対策は可能です。ただ、標準賃貸契約書や国交省ガイドライン、その他建物賃貸に関わる法令及び判例は、インターネットや市販の書籍等を利用して知識を補足しておいて下さい。
 なお、出題範囲につきましては、「試験案内」のページをご覧下さい。

 資格を取れば、仕事を紹介してもらえるのですか?

 当協会へは、年間10,000件近くの敷金等に関するご相談が寄せられており、その中で敷金診断士派遣の依頼があった場合には、その地域の敷金診断士の方へ業務を紹介させていただいております。
 ただ、地域によっても業務の質・量に差があり、こうした紹介を、いつ、何件できるといった確約はいたしかねます。

 敷金診断士の資格で、どれくらいの収入が見込めますか?

 各々の敷金診断士資格の業務の仕方にもより、一概に申し上げることはできません。
 独立開業し、ホームページの開設、チラシの配布、地域の引越し業者との提携等、積極的に業務展開を行い、敷金診断士の業務のみで生計を立てておられる方もいれば、サイドビジネスとして当協会から紹介のあった業務のみをこなしている方もおられます。また、不動産仲介業者の方で、顧客の信頼を獲得するために資格を取られる方も多いようです。

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